生きたい彼女と死にたい彼。 (ページ3)

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その後も凄く話しかけてくるものだから

立ち去るにも立ち去れず、

同じだと言う帰路を少し離れて歩いた。

「で、なんで今日は1人なんですか？」

『あー…なんとなく、です』

名前も知らないこの人に殊更説明する気にも慣れず、

てきとーにあしらった。

そもそもまだ友達にすら話していないのだから。

「何となくで友達の輪から外れないと思いますけど」

思わぬ返答になんで？と聞き返してしまう。

「何となく」

『え？』

「だからなんとなくですよ」

どうして私があしらわれる側にならなきゃ行けないんだ。

結局そっちもなんとなくで済ませているじゃないか。

そもそも今日の私ではいつも通りのテンションで話すことが出来ない気がした、

いや出来ない。出来てなかった。

隣を歩いていたそいつが脚を止め、

「じゃあこうしましょう。俺は今気になって仕方ないんです、
お互いの秘密を交換と言うのはどうでしょう」

『なんで貴方に教えないといけないんですか』

「だから交換条件ですって、勿論俺が先に教えます」

初めましてから約20分。

この物好きな図々しい男に呆れすら覚える。

どうせあと1年もない学校生活だし、

ここで丁寧に相手する必要も無い。

というのを今更ながら気がつく。

と言うか今日も病院に行かなきゃ行けないんだった。

『ごめんなさい、用事あったの思い出したのでこれで』

そいつに引き止めに合うかと頭の片隅で思うも、

予想外にも背後から一言も聞こえてこなかった。

時間通りにやってきたバスに乗り込んでから背を向けた場所を見ると、

既にそいつはいなくなっていてさらに疑問が深まった。