生きたい彼女と死にたい彼。 (ページ12)

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未遂の子ページ12

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お互いの秘密を共有しようなんて

訳のわからない事を交わしてから1週間。

高校へは再び登校し始めたが、

友人達には一切自分の事は打ち明けずにいた。

しかし、悟られまいと必死に振る舞う中でも

運動をすると今までより動機があったり、

呼吸がしづらくなったりと

病が自分を蝕んでいることは明らかだった。

先生達の理解は得ているものの、

どうも過ごしにくい毎日だった。

高校3年と言う事もあって

夏休みになれば強制的に三者面談が行われる。

その前に先生と生徒での二者面談がある。

進学したいから先生も一緒に説得して！

と言う子もいれば、就職先決まらない！

と嘆く子もいた。

私の場合はそんな事眼中になかった。

1年生きるのでも精一杯な生命なのだから。

「Aの場合は親御さん交えて
今後の事について話す場にさせてもらうからね」

『わかりました』

「他の愉快組には話したの？」

愉快組…また新たなグループ名(？)ができた

『いえ、話すに…話せなくて……。』

「そうか。
俺からは誰にも口外しないから、自分のペースでな」

はい、と一言返事をして教室を後にした。

殆ど誰もいなくなった放課後の校内に

私の足音だけが無情に響く。

二者面談終わるまで三人を待たせるのは気が引けて

先に帰ってもらった。

今頃遊びにでも行っているんだろうな。

３階の教室から１階まで階段を降りて行くと、

階段下でスマホを凝視する見覚えのある背格好の男子生徒。

『阿部くん？』

「…！？、あっ、Aさん」

スマホ禁止の校内で先生に声をかけられたと思ったのか、

私が呼びかけると咄嗟にスマホを隠した。

『ごめん、つい。見覚えのある人がいるなって思ったから』

「大丈夫、先生かと思っただけだから。
流石にお咎め受けるとまずいからさ」

頭良さそうな阿部くんでもまずいことってあるんだ。