無色の子 【呪術廻戦】弐

伍拾伍 ページ16

重く分厚い扉ががチャリと開く。

その先には美しい少女が立っていた。

「お久しぶりでございます。

いかがお過ごしで？」

少女は仮面を張り付けたような笑みで話しかけた。

「おお！伏黒A！

おぬし、ちょうどよい時に着きよった！」

「どうかされましたか？」

「天元様の同化が来年なのじゃ。」

「そうでございましたね。」

「それでのう、天内理子の護衛を決めればならん。」

「誰に任せるかといったところじゃが…。」

「今のところあやつらが良いかと思っているんじゃが。」

「あやつらとは？」

「五条悟と夏油傑じゃよ。」

「わしは反対じゃと言っておる！

おぬしが行けばよいだろう？」

「ちょうど来年でしたら私は留学中ですね。

あちらの方には迷惑をお掛けする訳にはいかないですから。」

少女はお力になれなく残念ですと言うように目を伏せる。

「こやつは無理でも九十九由基がおるじゃろ。

わざわざあやつらにする意味がない。」

「九十九由基は任務を受けんだろ！！

それに年が近い方がいい。」

「天元様にお尋ねになっては？

天元様がよろしいとおっしゃった方なら私は何も言いません。」

「だから儂は言ったのじゃ！！

天元様にお伺いすると！」

「それじゃと天元様のご負担になるぞ！」

「ご自身で選びなさった術師に星漿体を任せたほうが天元様のお気持ちも楽でしょうから。」

「なるほど。

助かったのじゃ。

礼を言う。」


「大したことはしておりません。」

「それでそなた、今日はどうした。」

「先日のご依頼の宿儺の指の封印についてでございます。

こちらで調べましたところ数本ほど封印が解けかけているものがございました。

そちらは高専で回収致しました。

他のものは今のところは大丈夫かと。

しかし後十年程で非術師でも解ける程効力が弱っているかもしれません。

賢明なご判断を。」

「なるほどのう。

この続きは高専に頼む。

ご苦労だった。」

「他に何かあるのじゃな？」

「はい。

先日夏油傑、五条悟との合同任務を行いました。

贔屓目なしに見ても、彼らには１級として十分な実力はあるかと。

私の推測ですが、後２年以内に私と肩を並べるでしょう。

このままでは唯の宝の持ち腐れですから。」

「おぬしがそこまで言うのか。

ではこちらで組んでおくぞ。

ご苦労だった。」

「お時間をいただいたことに感謝申し上げます。」

「何かあったらまた頼むのじゃ。」

「了解しました。

失礼します。」

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