【募集企画】仮想世界戦争【#コンパス】3 (ページ30)

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119.甘毒ページ30

「私が管理者を仲良くして慰めて
情報を聞き出すからさアンタは表側から挑発してくれない？
手にいれた情報は共有するからどう？」

スマホをいじる手をとめて、提案してきた少女の顔を見た。人懐っこそうな笑みの中に渦巻くどす黒い感情、そう女子はこうじゃなきゃつまらない。

「颯夏なんてあて名みたいでやだからさぁ、呼ぶならなっちゃんとかでよろしくぅ。で、結論から言うと」

お断りします。そう言って微笑めば相手は驚いたように目を見開いた。そう私には利益しかない提案、断られるはずがないと思っていたのだろう。

傲慢、思い上がり、愚者。

「あなたは2つ勘違いをしていまぁす。一つ目はぁ私は意図的に煽ってるわけじゃぁないこと。あれ全部本音ね？二つ目はぁ、あなたに従ってあげるほど私はあなたを信頼も信用も親愛もしてないってこ、と。」

舐めつけるような目線でその少女を見たあと、私は嘲笑った。どこか抜けているような顔の少女、よほど想定外だったのだろう。しかしながら他人を利用させてくださいというお願いなのにその態度はいかがだろうか？

「正直さぁ？アンタ呼びしてくるやつに協力とかしたくはないよねぇまあ。逆にそれでよく都合よく私があなたの狗になると思えたねー。」

別にあれを管理者煽りと捉えるなら命令されなくても勝手にやるしぃ大丈夫だよ、と切り上げて私はスマホに目を向けた。そもそも私は真実を知りたいとは思っていない。私自身は。世の中が納得する理由を用意できるのなら真実じゃなくてもいいだろう。

だがあの管理者に、真実以外のものが用意できるだろうか。

嘘をつくのではなく嘘を本当にすることが管理者の権限なら可能だろう。フェイクニュースを真実にすることも可能だろう。それができないのはその発送がない頭お花畑の善人だから。そう考えると呆れを通り越し哀れに見えるものだから大変不思議だ。

「というかさぁ、そこまでしてやる必要性ある？たかがぁ餓鬼よ？そんな回りくどい方法使うよりぃぶん殴ったりしたほうが早いでしょ、はいＱEDマジ乙でしたぁ。」

じゃ、と手を降って私はイヤホンを取り付けた。コンパス以外の回線は動いているので海外のネトゲはもちろんプレイすることができる。ヘドショをきめてワンキルしながら先程の少女について考えた。

(性格が悪くて、私に似てるのに。)

決定的に彼女と私には差異があって、どこかそれが愛おしかった。

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