【募集企画】仮想世界戦争【#コンパス】2 (ページ41)

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82.鬼に金棒もしくは唐変木ページ41

管理者は協力してほしいと言われ、深川まといはそれを『国からの脅し』と捉えた
脅しは言い過ぎだとは思ったが、実際に仕事には支障が出る
たかがアパレルショップの店員であろうとも、忙しい時は忙しい
しかもこの時期は夏休みだ
学校は基本休みで、お盆と言うこともあり社会人も多い
バイトの子が入ってくれるかもしれないが、包装や接客には慣れていないだろうから時間もかかるだろう

「はい、コンパス本社から協力してほしいと。私はどちらでも構いませんが、…はい？」

とりあえず店長に電話はしたものの、コンパス社の人間が直々に出向いて私に有休を与えるように言ったらしい
勝手に私の有休消化をしないでほしい

「有休ではなく、公休に変えることはできますか？私はそちらで仕事をしていませんし、お給料を貰う訳にはいきません」

この穴は必ず埋めると伝え、公休にしてもらった

ノマさんのほうも有休を公休に変え、自宅のPCでできる仕事は回してもらうことにしたらしい

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翌朝、いつも通りにノマさんを起こし、10時頃に家を出た
端末の地図を見ながらコンパス本社を目指す

やはり公共交通機関は混雑していて、ノマさんが手を引いてくれなかったら人混みに飲まれていた

「キツくないか？」

「ノマさんのおかげで平気です」

190cm越え＋タトゥーは効いているらしく、あまりノマさんの周囲に人が寄ってこない
こんな時ばかりは感謝しなければ

「次の駅で降りて、10分ほど歩けば着くそうですよ」

「そこまで遠くないんだな」

「日本は狭いですからね。アメリカは国土が広いですし」

ノマさんは初めて行く場所では必ず迷う
2回目からは迷わず辿り着くが、地図を持たせても必ず1回目は迷う

電車から降り、ノマさんに先導してもらいながら方向を言う
人が多いせいで10分では着かなかったが、今目の前にはコンパス社と書かれた高層ビル

中に入り、とりあえず受付に向かえば、対応するのは受付嬢ではなく高校生くらいの女の子

「昨日、ラウンジに居たものですが」

ノマさんはこういう時、役に立たないのでそう伝えると、

「あの、携帯を見せて貰えませんか？」

素直に自分とノマさんの端末を渡し、女の子が弄っているのを見つめる

「ありがとうございます。確認終わりました。えっと…、改めて、初めまして。私は白音美空、一応管理者です…」

ノマさん、敵じゃないんで圧をかけないでください