2 ページ2
･
「だから、なんで直樹と付き合ってないの？」
私にとって唯一の友達、ゆうが問いただす。私は明らかに嫌そうな顔をつくって、吐き捨てる様に言った。
「誰があんな奴と。マジで無理だから」
そこでウインナーをパクリ。うん、美味しい。
「そーは見えないから言ってるんだけどなぁ」
ゆうが箸をおいた。ゆうは食べ終わるのが早い。ぼっち飯にならないように、私も頑張って箸を動かす。
「なんか言った？」
最後のおかず、卵焼きをぱくり。あむ、完食。
「いーえ」
周りには私と奴が恋人同士に見えるらしい。だが、それは絶対に有り得ない。とても距離が近い、家族の様な存在の、幼馴染みだ。…そう、ただ、それだけ。
不意に、周りが騒がしくなった。この雰囲気…まさか。
「A、今日は屋上に行って二人で食べようって約束したじゃんか」
奴だ。やっぱり奴だった。そして、金曜日に約束していた食事を忘れてしまっていた。
これは流石に私が悪い。奴は若干涙目である。唇を引き締めて、今にも、大きな瞳からぽろりと涙が溢れてしまいそうだ。
「本当にごめん」
口下手な私は、謝るしかない。奴を慰める方法が分からなかった。
「久しぶりに一緒に食べてくれるって言ってたから…楽しみにしてたのに」
益々悲しそうな顔をする奴に、私は困り果てた。そして、後悔する事になる、悪魔の一言を言ってしまったのだ。
「何でもするから、泣き止んで」
ここで、私の人生は奴のモノになりかけたのだ。こんな、くだらない食事の口約束を私が守らなかったせいで。
奴の目が、ギラりと光る。
「今の言葉、忘れないでね」
それはまるで、自分よりも弱い獲物を前に、絶対的に王者な人が持つ感情だった。
弱い私は、見て見ぬふりをした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 22人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
薔薇(プロフ) - るしふぁーさん» コメントありがとうございます！！そうゆう楽しみ方もアリですねww喜んで頂けて本当に嬉しいです！！ (2020年5月17日 14時) (
レス) id: 917336ebd6 (このIDを非表示/違反報告)
るしふぁー(プロフ) - 推しの名前でやったらうっひゃあああってなりました (2020年5月17日 2時) (レス) id: ce6d783c61 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇(プロフ) - 日名無 りんさん» コメントありがとうございます！！刺さる人には刺さる小説を目指して書いたので、とても嬉しいです！！！ (2020年4月28日 7時) (レス) id: 917336ebd6 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - ドストライクです！文章も読みやすくて最高でした！ (2020年4月27日 12時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇(プロフ) - けいこさん» ありがとうございます！！！ (2020年4月25日 17時) (レス) id: 917336ebd6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：薔薇 | 作成日時：2020年1月22日 20時
