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式は終わった。母親に先に家に帰ってもらって、友人と写真を撮ったり、先生と駄弁ったり。
「部活の集まりは？」
「もうちょい後」
特に約束をしたわけではない。互いに互いを見つけて、なんとなく話しているだけ。「寒っ」ブルッと体を震わせた宮に、ポケットに入っていたカイロを渡した。
「さんきゅ」
「ええよ。泣かへんかったんやな、宮」
「お前もな。冷めとんで」
「泣いたフリはしとった。心に来るもんはあってん、これでも。でも泣くまではいかへんかったな。多分青春を置いとった場所が、あのクラスや学校やなかってん。宮は部活やろ」
「まあ、そやな。俺の青春は部活一色や」
カイロを両手で包みながら、宮は赤くなった鼻をすする。「後悔はしてへんけど、なんや花のない高校生活やったわ」それにつられてズズッと特に意味もなく鼻をすすった。
「ほんまにな」
春にしては寒い。すうっと少し大袈裟に空気を吸い込めば、痛いくらいに冷たい空気が喉を冷やす。
なのに何故か、身体中の体温がじんわりと上がった。
「宮」
「なんや」
「私は多分、考えられへんくらいすごい人間になる予定やから、そん時は高校時代三年間ずっと逆崎Aの二段上の下駄箱を独占しとったって自慢してええで」
「普通に自慢させろや。ほんなら俺よりお前の両隣と上下独占しとった奴の方が自慢できるやんけ」
「おもろ」
「おもろないわ」
冷ややかにケタケタと笑う私を彼は見つめた。「ほんなら」と、仕切り直すように彼が言う。
「俺が日本代表になったら、宮侑とマブダチやったって自慢してええで」
「うっわ微妙やな。信憑性低すぎへんかそれ」
虚言を疑われてしまう、と眉を寄せる。「なんかもっとなあ、具体的なもんが欲しいな、お互い」彼はその言葉に「えらい自惚れやな、俺ら」と笑った。
「でもそうやな。一理あんな、それ」
うーん、と互いに唸る。「あ」となにか思い付いたように宮が言った。
「花、交換しぃひん？」
「え、これ？枯れるやん」
「まあさっきのよかましやろ。それに俺、赤のが好きやねん」
男子と女子でもらう花の色が違った。まあそこにたいした意味はないのだろうけど。「ええよ」はい、と差し出すと彼も自分のをはいと差し出した。
「おし」
「なんや、呪いみたいやな。こんなんしたらほんまに夢叶えんと格好つかへん」
「逆崎って格好つけたがりやんな」
「宮には言われたないわ」
互いを縛る、言葉。
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える(プロフ) - れいさん» ありがとうございます！本当に励みになります。これからもハイキューのキャラをお借りして作品を作るつもりなので、ぜひ彼らの紡ぐ物語を見守ってもらえれば幸いです(*^^*) (2020年3月22日 17時) (
レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - これからも応援してます！ (2020年3月22日 16時) (レス) id: 58d70e644d (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - めちゃめちゃ感動しました。えるさんの作品、大好きです！ありがとうございました！！ (2020年3月22日 16時) (レス) id: 58d70e644d (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - りき。さん» ありがとうございます(*^^*)短編だからこそ密度が濃いものにと思って書いたので、そうおっしゃってくれてとても嬉しいです。次回作も予定しておりますのでぜひ目を通していただければ幸いです(*^^*)読了ありがとうございました！ (2019年11月22日 20時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
りき。 - こんな素敵な作品を読ませていただき、有難うございました。 (2019年11月15日 23時) (レス) id: dfeb754ef4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：える | 作成日時：2019年10月27日 12時
