14 ページ17
▽▽▽
一度目の死は齢9つの時。探検に行った森の中で魔物に襲われ崖から転落して死亡。遭遇した魔物はウサギと蛇のキメラ。人間が作った産物だ。
崖から落ちて確実に死んだにも関わらず目が覚め、あろうことか怪我一つしていなかったことも十分に気味が悪かったけれど、身勝手にあんなものを作り出し、不要になったら森へ放つ人間の方がきっと何倍も恐ろしい。
この時私はまだ全て自分の気のせいだと思って(そりゃあまさか自分が一度死んで生き返った等とは思うまい)、自らが憑き人であることに気づいていなかった。
気付いたのはそれから一年後のこと。二度目の死を経験した時。
その時は家が火事になって燃えたのだ。母と父は必死に私を探してくれたけれど、私が見つからないまま駆けつけた消防隊員に救助された。
消防隊員が必死に火を消そうとするが火は全く消えず、とうとう家が焼け落ち崩れそうになった時、家を燃やす火を包み込むようにボワッと大きな炎が一瞬燃え上がったのだと。
そして家を燃やす火が消え去った。
その時の炎をのちに母は美しい赤だったと、父はお前を救った炎だというけれど、私からしたらそれは悪魔の炎に違いなかったのだ。
「歩む道はただ一つ。世界のための贄となり、儚く美しい命を散らせ。死ぬではない、許されない。死を渇望し、生きたまえ」
あとにも先にもその立派な鳥、フェニックスを見たのはその時だけだった。
母や父、お医者様にその話をしたところ憑き人で間違いないと判断され、それでも私が生きていてくれるのなら例え憑き人でも構わないと言った母と父を初めて恐ろしいと感じた。
その翌日に私は首の動脈をナイフで切り裂いたが案の定思い出したくもない痛みに襲われ、けれどまるでそれが夢のように消えた時は絶望した。3回目の死。
4、5、6回目の死は毒。7回目は首吊りで、8回目は深い湖で溺死を試みたが、死にはするものの生き返ってしまう。
そして今回記念すべき200回目の死は右足を切断したことによる出血死か、あるいは舌を噛みきったことによる窒息死。
痛いし苦しいしすぐ意識が落ちてしまったからどちらかは分からないけれど、まあどちらも既に経験済みの死に方なのでどちらでもいい。
「ああでも200回目の生で最初に映したのが生徒会長さんほど整った顔だと、悪くはないですね」
医務室で治療されてる生徒会長さんにそう皮肉を込めて笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
える(プロフ) - 汐見さん» コメントありがとうございます！賛否ある設定の物語ですが、そう言っていただけて幸いです(*^^*)これからもよろしくお願いいたします (2020年3月1日 11時) (
レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
汐見(プロフ) - 初見です！とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2020年2月29日 16時) (レス) id: dc0ff62b63 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 凜乃さん» ありがとうございます！長編の予定ですので、ごゆるりとお付き合いください。わざわざコメントありがとうございました(*^^*) (2019年12月12日 21時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
凜乃(プロフ) - 毎回とても楽しみにさせて頂いてます。更新頑張ってください (2019年12月11日 23時) (レス) id: 8218d9be2f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：える | 作成日時：2019年12月4日 17時
