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「よく来たね逆崎ちゃん!実は君の勧誘、我らが青葉城西と伊達、そんでもって音駒と被っちゃったわけ。モテモテだね〜」
ビシッと人差し指を向けて生徒会長さんは言う。自棄にギャラリーが多いのは今からやることを物語っているようで、正直こんなモテ方をするならチームへの所属を諦めたいくらいだった。
それだけ私の能力を買ってくれているということ自体は大変喜ばしいことであるけれど。
「でもここで少し疑問があってね。君魔法が使えなくても前線、しかも攻撃手にも関わらず烏野が君の勧誘に乗って来なかったんたよ。もしかしたら分析魔法が得意な爽やか君が何か見ちゃったのかなあ?なあんて」
「うわあ」
烏野は前線攻撃手が多く、魔法より物理攻撃が売りらしい。攻撃が防御だ!というタイプ。
そんな烏野が私を取らない理由は単にもう前線は要らないだとか、流石に魔法を使えないからとかそんなもので十分だろう。が。
超高度な分析魔法の使い手がいるなら、そりゃあ生徒会長は勘ぐる。というか、その烏野の爽やか君とやらに私が憑き人だということがバレているのか。
「あちゃー」と、観客席のほうからそんな同情の含んだ声が聞こえた気がした。
「んで俺らも爆弾は抱えたくないし、でもうちも伊達も音駒も、魔法が使えない君を戦力に出来る相性が抜群な訳で」
その三つのチームはサポート型が多いのかもしれない。魔法を使わない分私はサポートとの相性が合わないなんてことはまずないし、属性を気にする心配もない。
馬鹿とハサミは使いようよろしく馬鹿と無能は使いようである。
「で、君のその隠し技を、君を追い込んで使わせて、君の能力を把握しよう!ということで」
ふふ、と彼は笑う。話し合いでなんとかならなかったのか、と頬が引くついた。
「そんなんじゃ私の能力全開示ですよ!これから戦うとき不利になりません?個人もチームも……」
ね?とひきつった笑顔で同意を求める。「そんなの」
「そんなの、能力バレで使えない奴だったらどのチームも君を取らないけど?」
「こっっわ」
いやだいやだ。顔が整っている人間のこういう笑顔こそ怖い。
憑き人がバレた時点で私の負け。できるなら穏便に、憑き人だとバレないで学園生活をおくれればばんざいだったわけだけれど。
「(そうも言ってられないか)」
どうせいつかはバレる。それが少しはやまった、それだけ。
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える(プロフ) - 汐見さん» コメントありがとうございます!賛否ある設定の物語ですが、そう言っていただけて幸いです(*^^*)これからもよろしくお願いいたします (2020年3月1日 11時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
汐見(プロフ) - 初見です!とても面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月29日 16時) (レス) id: dc0ff62b63 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 凜乃さん» ありがとうございます!長編の予定ですので、ごゆるりとお付き合いください。わざわざコメントありがとうございました(*^^*) (2019年12月12日 21時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
凜乃(プロフ) - 毎回とても楽しみにさせて頂いてます。更新頑張ってください (2019年12月11日 23時) (レス) id: 8218d9be2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:える | 作成日時:2019年12月4日 17時