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曰く、鬼舞辻無惨は竈門炭治郎を追っている。
曰く、鬼舞辻無惨は逆崎Aに異様な執着を持っている。
曰く、鬼舞辻無惨は前世の記憶を所有し、再び鬼として今世に存在している。
「まあ、間違ってはいないな。けれどそれが全てでもない」
クツクツと目の前の鬼は愉快そうに笑う。Aにはそれがどうしても不快で、その感情に任せて刀をふるってしまうところだった。
「話をしようとは言ったがしかし、生憎俺が話せることなどないのでな」
もっとお前の話を聞かせてくれ、勢いをつけ振り上げられた足をAは右に避ける。「お」確かに避けたはずだったが、それは見事Aに命中した。
咄嗟に両手でガードしたものの、その威力はすさまじくその体が壁にめり込む。体のどこからか嫌な音が聞こえた。
「お前の名前は?好きなものは、嫌いなものは?好きな奴や恋人はいないのか。何のために鬼を狩る?何故まだ刀を握るのだ」
次々と鬼の口から出る質問に良く喋る鬼だな、とAは刀を構え直す。
「逆崎A。好きなものは仲間、嫌いなものは仲間を傷つけるもの。意中の相手や恋人はいない。鬼を狩るのは自分のため、刀を握るのは鬼殺隊の名のためだ」
「笑止」
「見切った」
雪の呼吸 弐の型 雪花
鬼とAが飛び出すのは同時。
血鬼術 針雨
「ふっ、はははははははは!!」
ゲラゲラと笑う鬼。
降り注ぐ針の雨。正確にいうとそれは鬼の撒いた血液が針の形に変形したものである。
全てを避けきることは難しい。
Aの肩と腹には深い傷が入り、ドクドクと赤黒い血が流れ出ている。痛みで顔を歪めるA。どうにか血を止めようと刀を持っていない方の手で押さえるが、指をったってポタポタと、血は止まることを知らない。
鬼の血走った目がそんなAを見下ろした。タラリと、一筋の涎が顎をつたい、地面に落ちる。「おっと」と鬼はそれを拭った。
「食事はマナーが大切だからな」
恍惚とした表情で鬼はAに手を伸ばした。グルリと視界が反転する。
「……なに?」
「首、落ちてるぞ」
痛みを我慢しつつも、Aはそう口角をあげた。
「言ったろう?見切ったってな」
前上弦の陸は宇随さんの手と目を使えなくしたぞ?──
「もしお前が相手だったら、宇随さんは無傷で帰ってこれただろうに」
思い出す後悔。
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赫赫 - えっそこで更新停止…!?勿体ない……!!とても面白い作品です!更新して欲しいです! (2021年12月9日 7時) (レス) @page39 id: 33d74645c1 (このIDを非表示/違反報告)
10優 - すんごく面白いです!一瞬で文スト(鬼滅?)の世界に引き込まれちゃいました(笑)更新待ってます。頑張って下さい! (2019年12月4日 1時) (レス) id: 9d99cb2590 (このIDを非表示/違反報告)
六花 - あのお願いがあるのですが、逆崎君の詳しいプロフィールを教えてほしいです!無理ならば大丈夫ですよ。更新いつでもいいので頑張ってください! (2019年10月12日 19時) (レス) id: 1558ece2fb (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - ルルナナさん» ありがとうございます(*^^*)不定期な更新ですが、ぜひ逆崎君の物語にもうしばらくお付き合いください。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月11日 0時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!此れからも頑張ってください! (2019年8月10日 23時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:える | 作成日時:2019年5月25日 23時