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鬼の存在が公表されたのは、それからすぐのことだった。世間は混乱し、それでもどこか非日常に喜びを覚えている者もいた。
Aがヨコハマに戻ってこれたのは、あの事件から二週間後のことである。
くたあ、としたAの頬にはガーゼや絆創膏がペタペタと子供に遊ばれたのではないかと思われるほど貼られ、腕や足に巻かれた包帯には生々しい赤がにじんでいる。
「づがれだ」
声はガラガラで、彼の面影はない。「逆崎さん！」と敦は不安定なAの体を支えた。自分より幾分か高いA。思ったよりその体つきはよく、筋肉も自分よりはあるだろうことに敦は驚いた。
「ありがどう、あづじぐん」
Aはそう言って敦の頭を撫でる。「あああ！動かないでください！今与謝野さん呼んできます！」
「妾はここにいるよ、敦。早くそいつ運びな」
凛とした声。与謝野はAを見て、この調子ならあまり解体しなくてもいいなと分析する。
数分後与謝野のおかげで久しぶりに軽い体に感動しながら、Aは与謝野にお礼を述べた。
「敵の大将の場所は掴めたのかい？」
「ああ、いや。全くだ」
Aは困ったように笑う。「というか、手がかりを探す暇もない忙しさだった」
「収穫と言えばまあ、下弦の弐を名乗る鬼を倒せたことくらいかな」
「下弦の弐？」コテン、と敦が首を横に傾げる。
「簡単に言えば、鬼の中で八番目に強い鬼。その中に親玉は含まれていないけれど。僕は既に疲労でくたくただったから、ちょっとばかし手こずってしまった」
それで少し手こずったぐらいなら、Aの実際の実力はどれ程のものなのだろう、と敦は顔を青くする。もしかしたらこの優しい温厚なお兄さん気質の青年は、自分が思っているよりずっとずっと強いのではないだろうか。
「そんな疲れてる君に朗報だ」
江戸川は棒つきの飴を口から離す。薄く目を開いて、真っ直ぐとAに視線を向けた。
「鬼が出たらしい。どうやら一人の人間を追ってね」
ここまで言えば分かるだろう、と言わんばかりに江戸川は再び飴を口に咥える。
記憶の端で、どこかそんなことを前にも一度聞いたことがあった。
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赫赫 - えっそこで更新停止…！？勿体ない……！！とても面白い作品です！更新して欲しいです！ (2021年12月9日 7時) (
レス) @page39 id: 33d74645c1 (このIDを非表示/違反報告)
10優 - すんごく面白いです！一瞬で文スト(鬼滅？)の世界に引き込まれちゃいました(笑)更新待ってます。頑張って下さい！ (2019年12月4日 1時) (レス) id: 9d99cb2590 (このIDを非表示/違反報告)
六花 - あのお願いがあるのですが、逆崎君の詳しいプロフィールを教えてほしいです！無理ならば大丈夫ですよ。更新いつでもいいので頑張ってください！ (2019年10月12日 19時) (レス) id: 1558ece2fb (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - ルルナナさん» ありがとうございます(*^^*)不定期な更新ですが、ぜひ逆崎君の物語にもうしばらくお付き合いください。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月11日 0時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます！此れからも頑張ってください！ (2019年8月10日 23時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：える | 作成日時：2019年5月25日 23時
