クルミの冒険ー真実を求めてー (ページ8)

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1章 7節目ハイクラウド城ページ8

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｢たのもー！！！たのもー！！！｣
容赦なくどんどんと扉を叩くクルミッシュに、ナナキはアワアワと焦る。
あの後、2人は無事ハイクラウド城へと辿り着いた。
目的地であったハイクラウド城は古く異様な雰囲気を漂わせており、大きな城だというのに人気が全くない。
幽霊屋敷と言われても違和感はないだろう。

扉の向こうから足音が聞こえてくる。
少しして、目の前の大きな扉が開く。そこには片腕がない一人の男性がいた。
｢やあ、クルミちゃん。いらっしゃい｣
｢久しぶり、セルウスお兄ちゃん！｣
セルウス、と呼ばれた男性。彼もまた、『あの戦い』に勇敢に立ち向かった英雄の1人だ。
失った右腕が、戦いの凄惨さを物語っている。
｢アルちゃんに用があるのだろう？庭でウィルリスとティータイム中だから、案内するよ。それに…｣
セルウスはナナキに目を向ける。
｢新しい友達も出来たようだしね｣
『え、あ、あの、その…』
ナナキは慌てふためく。ついさっき花畑で出会いました、なんて素直に言えば不審者扱いされて追い出されるだろう。それに加え、ナナキは霊体。
悪霊と勘違いされれば…結末は目に見えている。
｢うん、彼とは少し前から仲良しなの！ナナキ君って言うの！｣
見かねたクルミッシュが助け舟を出してくれる。
ナナキは内心クルミッシュに感謝しながら続ける。
『そ、そうなんですよ！れ、霊体ですけども…』
｢まあ、この世界には色んな種族がいるからね。霊体でもさほど驚かないよ。まあ、アルちゃんなら泣いて逃げるだろうけどね｣
セルウスはそう言うと、背を向けて歩き出す。
霊体を目にしても表情一つ変えずに淡々としているセルウスに、ナナキは戸惑う。
｢大丈夫だよ、セルウスお兄ちゃんは優しい人だから。案内してくれるだけだよ｣
クルミッシュはナナキに耳打ちする。
『す、すみません…顔色ひとつ変えずに笑いながら言われたので…つい…』
｢いいんだよ！なんというか、この城の中の方が珍しいというか…異質だからね。セルウスお兄ちゃんも、もう慣れちゃったんじゃないかな？｣
『な、慣れ……』
｢さ、早く行こう！セルウスお兄ちゃんに置いてかれちゃうよ！｣
『え、あ、は、はい…！』
クルミッシュは少し先で2人を待ってくれているセルウスの方へと小走りに向かう。
ナナキは慌てて、彼女の後を追った。