1章 4節目 花畑 ページ5
ーーーーーーーーーーーー
「絶対何か隠してるでしょお兄ちゃん達!酷い、酷いよ!!」
クルミッシュはドスドスと歩きながら、鼻息を荒くする。
…クルミッシュはニコラスとブウェルガの表情を見て、違和感を感じていた。
2人の瞳に、僅かながら焦りが見えたのだ。
戦いの後、クルミッシュは暫くクインタレッリに身を置いたあと、強くなる為にアルカミリアに戻ってアルストリカに弟子入りしていた。
その時、アルストリカは戦術以外にも『人間観察』の仕方も教わっていたのだ。
焦った人の目は僅かに揺れ動く。ニコラスとブウェルガの目も、焦った時の目の動きをしていたのだ。
しかし、ニコラスとブウェルガは口が堅い。問い詰めてもあれ以上の進展はないだろう。
ならば、次に向かう場所はもう決まっている。
問い詰めれば何か吐いてくれそうな人物…
そう、師匠であるアルストリカだ。
アルストリカはメンタルが弱い。
自分が弟子入りした時も、あまりに迫ったからか半泣きになってウィルリスにこっぴどく叱られた。
もし、アルストリカが何かを知っているならば…前のように圧をかけて迫ればきっと何かを話してくれるかもしれない。
そんな淡い期待を胸に、クルミッシュはアルストリカのいるハイクラウド城を目指す。
ニコラス達の家からハイクラウド城のあるソニアの森まではかなりの距離があるが、大通りを直進すればソニアの森にぶち当たるので、迷う事はほぼない。
「あ、そうだ!お姉ちゃんお花大好きだから花でも摘んでいこう!からの尋問なら絶対何か喋ってくれるはず!うーんクルミ頭いい!そうしよう!」
クルミッシュは1人そう呟きながら、大通りを外れて花畑のある所へと向かった。
「わー!!すっごい花だ!」
花畑に着いたクルミッシュは、目の前に広がる光景を見て感嘆の声をあげる。
辺り一面に赤や白、黄色や緑の花が咲き乱れていた。
この場所はニコラスに教えてもらった場所なので、確かアルストリカは知らないはず。
きっと乙女なアルストリカなら絶対に気に入る場所だろう。
今度連れてこようかな?なんて思いつつ、クルミッシュは花畑に入って花を摘み始める。
「確かお姉ちゃんはウィル様みたいな蒼色が好きなんだよね…なら蒼多めにしなくちゃ!」
クルミッシュは花を摘み続ける。
…青色の花に手を伸ばすと、ふと誰かの手が重なった。驚いてクルミッシュは顔をあげる。
…誰もいなかったはずのクルミッシュの目の前に、
病的に白い1人の少年がいた。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あイカらカイあ | 作成日時:2021年2月25日 20時