じゅうっ ページ11
「いち、にー、さん、しっ」
「ごー、ろく、しち、はち」
おおお。ぱちりと瞬きをひとつして、目の前に広がるシュールな光景を眺める。声を出しながらナイフを振っているのはまだ顔立ちに幼さの残る中学生で、今は体育の授業中。
学校に行ったことは無い私でもこれが異様なのは流石に分かる。そもそも中学生に暗殺をさせるのって余り推奨は出来ないよねぇ。
___彼らは、分かっているのだろうか。“殺す”という言葉の重みを。
どこか楽しそうにゴムのナイフを扱う彼らを見つめて、今後理解していくであろう惨い現実に思いを馳せた。
「Aちゃーん、烏間先生が呼んでるよー!」
いつの間にか名前呼びに変わっていたゆるふわ少女の声に視線を向ける。ちゃん付けは新鮮だなぁと表情を緩めながら、見学していた木陰から烏間さんの方へ向かった。
「お呼びですか、烏間先生。」
ぐっと首を上に傾けて尋ねる。細身に見えてがっちりとした体と高い身長。筋肉もバランス良くしっかり。この人はきっと強いだろうと感じた。
「ああ、君にも少し参加してもらおうと思ってな。決して実力を疑っている訳では無いのだが、どのくらい動けるのかは把握しておきたい。」
にこりともせずにそう言った烏間さんだが、この人は恐らくこういう人なのだろう。織田作さんも表情はあまり変わらない人だったな、そういえば。
ほんの少し感傷的な気持ちになりながらもそんな事は
烏間さんから少し距離をとった場所に立ち、この教室に来る前に渡された緑のナイフを手に持つ。先端を掴んで持ち手の方へ引っ張ってみると、ぐにっと簡単に刃が反った。
ああ、人を傷付けることは出来ない武器だから“そういう”意識が薄いのかもね。
ぴっと掴んでいた刃を離した。それから軽く首を回して、体を動かしてみる。ふむ、悪くはない。
ふと、校舎の窓から覗く国木田くんと目が合った。程々にしとけよ、と目で訴えられたのが分かる。それに任せてちょーだいなと笑顔を向けると理解出来たのか、本当だろうなぁと疑いの目。
んー、でもなぁ。
頭を掻いて、烏間さんに視線をやる。
この人多分だけど、めちゃんこ強いと思うんだよね。体術はまあ、師匠がハイレベルだっただけにその辺の輩には負けない自信はあるけどこの人はプロ。それもかーなーりーの実力者。
はぁ、ともう一度国木田くんを見る。
手加減出来るほどの余裕、あるかなぁ。
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いろどり(プロフ) - 実和さん» 返信遅くなり申し訳ありません!ええ!そんな、凄く嬉しいです、待ってくださる方がいる事がモチベーションに繋がります! (2021年3月21日 20時) (レス) id: fed0e41e08 (このIDを非表示/違反報告)
いろどり(プロフ) - ゑごまさん» 返信遅くなり申し訳ありません!不定期更新ですが、気長にお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年3月21日 20時) (レス) id: fed0e41e08 (このIDを非表示/違反報告)
いろどり(プロフ) - ヴァンパイアさん» 返信遅くなりまして申し訳ありません!ありがとうございます、嬉しいお言葉が身に染みます! (2021年3月21日 20時) (レス) id: fed0e41e08 (このIDを非表示/違反報告)
いろどり(プロフ) - 河川革皮さん» 返信かなり遅れてしまって申し訳ありません!初めてのコメントとてつもなく嬉しかったです、ありがとうございます!頑張ります (2021年3月21日 20時) (レス) id: fed0e41e08 (このIDを非表示/違反報告)
実和(プロフ) - ワワワ、めちゃめちゃ楽しみに更新待ってたので通知来た瞬間飛んできました…!!!!!無理なさらない程度に更新頑張って下さい! (2021年1月14日 23時) (レス) id: 723f2dc3da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いろどり | 作成日時:2020年3月13日 15時