今宵、月夜に君は輝く。Ⅱ (ページ29)

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私の倍ぐらいのペースで飲み進めて幹山さんはもう完全に出来上がってる

「…………あーおもいだすなー」

急に机にうつ伏せになって、
「忠義くんとここ来たことあんの」

その一言で幹山さんが大倉さんの元カノってことを思い出した。

「私と忠義くん付き合ってたのかよく分からないんだよね」

悲しそうにそう言って、辛そうに笑った。

「忠義くんってモテモテでね？」

幹山さんの近くには空になったビールジョッキがたくさんある
更に、べろべろになってきてる

『イケメンですもんね』

「そうなの！悔しいけど！！」

ビールを飲み干して、ドンっとジョッキを机に叩きつけた

そしてまた１個机の上のビールジョッキが増えた

「だからさ、遊び相手も山ほどいたはずなの」

ふと、酔っ払ってたとは言え大倉さんのキスされたことを思い出した。

このままだと、私も都合の良い遊び相手ルートになっちゃう……？

大倉さんは一体どういうつもりだったんだろう、、

急に思い出した、今の私が1番解決すべき問題に頭を抱える。

「ちょっと、大丈夫？」

『あ、ごめんなさい。大丈夫です』

「それで私もその中の1人だったんだけどさ、それで脅迫じみた告白したの」

『…脅迫じみた？』

「忠義くんの好きだった人が、…言い方悪いけど丁度遠く行ってくれてさ、それでチャンスだと思って、
１週間以内にいい返事してくれなかったら、死ぬって」

結構、強めのエピソードで驚く。

脅迫＂じみた＂レベルの話じゃなかった
完全に脅迫じゃん

「それで、しぶしぶOKくれたんだけどたまに会って隙間埋めるだけの関係。今思い出せば、そーいうお友達よりは上だけど恋人よりはずーっと下の関係だったな」

幹山さんは、大倉さんのことが好き

でも、大倉さんは忘れられない人がいて。