今宵、月夜に君は輝く。Ⅱ (ページ23)

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『好きな人が関わってますか…？』

私がそういうと、伏し目がちに優しく笑った。

この優しい顔はは私に対して向けられたものじゃない気がした。

「せーかい。
その人煙草吸っててな？
まだその人と一緒に働いてた時、喫煙所で一緒になって煙草忘れたフリして1本貰ってん。
＂あぁ、この人はいつもこれを吸ってるのか。＂って、きしょいやろ？でも、少しでもその人と同じ共通点が欲しくて少しでも近づきたくてその日以来変えてん」

それからずーっと中毒。ってポケットの中の煙草を触りながら自虐気味に笑った。

「もう連絡もしてないし何年も会ってないけど、たまーに吸う度思い出して、ちょっとだけしんどくなんねん

こんなんなるから、絶対止めといた方がええで」

そう言って鼻で笑い、私が持ってた章大くんの煙草を取り上げた。

依存してるのは、煙草なのか、思い続けてる人なのか私にはわからなかった。

「煙草って怖いねんで。
喫煙習慣ないAちゃんが１回吸ったとしてすぐには依存せえへんやろうけど、弱ってる時、多分吸ってまうよ。気軽に元彼と何かを共有してるような気持ちになれるから。それを繰り返して結果的には依存する」

な、怖いやろ？少しおどけるように首を傾げた。

『大倉さんは、依存してますか？』

「…さぁどうやろ」

ニコッと綺麗に笑ってはぐらかされる。