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No.8 ページ9

河村side

彼女にあってから、数日が経った。
ハンカチは洗濯して、いつ会ってもいいようにカバンにいれてある。

彼女と会った書店にも足を運んだ。あまり外出が得意でない自分が、外に繰り出した。
しかし、まだ会えていない。

会える気がしたのは杞憂だったのか。元々そういったものは信じないタイプである。
警察に届けた方がいいのでは。という気持ちでいっぱいになってしまう。

もう少し、もう少し待ってみようと思っていた。



彼女との再会は意外なものだった。
クイズノックのメインチャンネルの登録者が150万人を突破し、メンバーでお祝いをしたのだった。

最初の苦労を共にした初期メンバーは、特に感慨深いものであった。
酒も進み、また明日から頑張ろう!と、お祝いはお開きになった。

帰り道、家の方向が同じメンバー数人と歩いていると、男性に絡まれている女性が見えた。

女性の一人はつぶれているのか、もう一人の女性が必死に逃げようとしている。
他の人も見て見ぬふりをしていて、いやな気持になった。

非力な自分はこういったとき、あまり動くことが出来ない。
それに今はクイズノックのメンバーもいて、騒動になると迷惑をかけてしまう。

自分も見て見ぬふりをしようかと考えたとき、彼女のことを思い出した。

猛暑日で暑いだろうに、見ず知らずの自分によくしてくれた。

この恩は誰かに返すべきでは?と思った。

体が先に動いていた。





僕は女性と男性の間に入って「嫌がってるじゃないですか、やめてください」と言った。

男性たちは睨みつけてきたが、メンバーも追いかけてくれて、援護してくれた。
男性たちは舌打ちしながら去った。

女性は深々と頭を下げて、お礼を言っているので、怪我がないか聞いた。

女性は頭を上げ、僕を見た。驚いた。先日の彼女だった。

女性も驚きながら「ハンカチの人!」と言った。

ハンカチの人…とほほ笑むと、彼女は泣き出してしまった。

見て見ぬふりをされ、一人で心細かったのだろう。

思わず、「よければ使ってください」と、ハンカチを渡した。
彼女に渡されたハンカチを彼女に渡した。

彼女はそれが面白かったのか笑ってくれた。

僕は先日のお礼を言った。やっとお礼が言えた。


そしてまた会えた。それがうれしかった。



大通りからは距離があるとはいえ、大人数でいると目立つため、僕たちは早々に彼女たちと別れた。

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設定タグ:クイズノック , Kuizknock , 河村拓哉   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:Nana | 作成日時:2021年1月17日 3時

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