羅刹の幻影は囁く part10

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NO SIDE



飲み勝負開始から約1時間後………。





『…………寝てますか？』
西門「寝たね」


カウンターに突っ伏し、頬をやや上記させ寝息を立てる神林。
対し、同じ量の酒を飲んでいたAは平然とし、肌も赤くなっていなかった。



『これは……なんか、すいません』

西門「いやいや、匋平が挑んだ勝負だから謝らずともいいよ。しかし…本当に凄いね」

『まだ飲めますけど、これ以上貯蔵を失くす訳にいかないのでこの1杯だけにします』

西門「そ、そう」


「まだ飲める」というAに目を見張る西門。そして眠る神林を見て、「もう勝負させてはいけないな」と苦笑した。


『西門さんも1杯どうですか？注ぎますよ』
西門「そうだね…。それじゃあ有難く」
『といってもお宅の店の酒ですけど』


西門が持つグラスにあと僅かだったウィスキーを注ぎ終え、「乾杯」と互いのグラスをぶつける。カランと氷の音を楽しみつつ、一口を大事に飲んでいくA。



『明日絶対に二日酔いですよね、この人』

西門「毎回飲み歩いているから二日酔いはしょっちゅうあるよ。今日は調子に乗り過ぎたから自業自得かな」

『酒強そうだから意外と分からなかったですけど。私の限界何杯でしょうか…』

西門「うーん…証明するためには何人も必要だね」

『…それの為に人を集めるのもなぁ』



『知らぬが仏って事でいいか』と一人納得するA。


ふと、店内にあるピアノに目が移った。



『あのピアノって随分綺麗にしてますけど、この店にずっとあるものなんですか？』
西門「あぁ。Barを開設した当時からのものだ。今でも匋平が弾いたりするから調節をしっかりとしているんだ」
『この人、ピアノ弾けるんですね』


意外という顔で眠る神林を見る。
予想通りの反応に笑いながら「私より才能があるよ」と言う。

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