羅刹の幻影は囁く part10

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『……ファンシーかよ』


謎のツッコミをしてしまった。でもそれくらい言葉通りな状況だったからだ。


都心とはかけ離れたイメージの芝生が広がる大きな公園。遠くの方では豪勢な遊具が立ち並んで子供達が遊び回っている。その付近にある木製のベンチには子供の親御さん、犬の散歩をしている人、ご高齢の人等様々な人が利用していた。


この芝生フロアは憩いの場？的な目的で造られたらしいが……ある意味憩いの場だ。
私が探そうとしていた子猫とシロを抱え、気持ちよさそうに眠る北斎がいるんだから。


『気持ちよさそうに寝てるな…』


ちょっと起こすのは憚れる。腕で隠れている部分があるから、この写真の猫なのか確認がとれない。可哀想だけど、起こすか。
眠る北斎に手を伸ばした時、自分の顔に影が出来たためか、パチッと北斎が目を覚ました。


北斎「あ、A。おはよう」
『うん、おはよう。悪いな、起こして』
北斎「ううん」


よいしょ、と北斎が起き上がる。彼が起き上がったことで胸の中で眠っていた２匹もムニャムニャとぼやけた顔を浮かべて目を開けた。
シロは私の姿を目にとめると、ニャッと鳴きすり寄ってくる。

子猫の方はやや警戒気味に私を見ていたがシロが懐いているのを見て、私の手の匂いを嗅ぎ、スリスリと身を寄せてくる。意外と人懐っこい子なんだろう。

頭をなでながら渡された写真を子猫を見比べる。
毛の色、首輪、瞳の色、あとお腹の方にある丸形の模様……ほぼ間違いない。
ちらっと首輪の裏を捲ると「MIKO」と書かれている。
奥さんが「みーちゃん」といいながら発狂していたけど、実際の子猫の名前は「ミイコ」。

確定だ。


北斎「この子だった？」
『うん。名前も見た目の特徴も一致しているから』



よかった。これで奥さんの涙が枯れずに済む。

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