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ASIDE




ピチャピチャと、水の音が聞こえる。
額に感じる冷たいが心地よい感触に思わず、と息がこぼれた。

そっと重たい瞼を開くと、自分のものではない大きな手が私の額に触れているのが見えた。



西門「あぁ、起こしてしまったかな?でも、何か食べないと薬が飲めないから、起きてくれて良かった」



私の額に触れ、前髪を払っていたのは、西門さんだった。
彼のもう片方の手には、湯気が出ている粥が乗ったお盆。
そのお盆をベッド傍の机に置く西門さんを見ながら、ゆっくりと上体を起こす。



西門「食べれそうかい?」
『少しなら…』
西門「なら良かった。温めてくれたばかりだから火傷しないようにね」



そう言いながら、小さな器によせてくれた粥を手渡してくる。
ほんのり暖かい感覚を手のひらで受け止めつつ、匙を手に一口頬張る。

程よい塩見と甘さが口内に広がって、すっと喉を通る。



『…美味い』
西門「なら良かったよ」
『これはアイツ……神林匋平が作ったんですか?』
西門「あぁ。意外かい?」
『……かなり』


この優男ならともかく、横暴そうなあの人にこんな優しい味が作れるとは…。いや、それを言えば晴兄も一緒なのか?
不愛想な義兄を思い出しながら、抄う手を早め、あっという間に皿は空っぽになった。

自分じゃ気付かないが、お腹はすいているんだな。



西門「うん、それだけ食べれればすぐよくなるだろう。ちょっと失礼するよ」



今度は詫びを入れて、私の額に触れてくる。
こういう所も、本当に優男だよな……これで恋人とかいないのか?

勝手な事を考えていると「熱も少し下がっていると」と笑みを浮かべてくる。
そして実里から渡されたのだろう、錠剤を私に手渡してきた。



西門「これ、彼女から預かった薬だ。傷に募った熱を下げると言っていたから、必ず飲んでくれ」


彼女って実里の事か。
その呼び方であっているのかな…。


『は、はぁ………代金は』
西門「ツケでいいと、実里さんは言っていたよ」
『借りを作ると碌なことがないんだが……。本当にお世話になりました、この熱が下がったらすぐに…』


帰る、と言いたかったが「匋平から聞いたよ」という言葉に遮られた。
匋平って…神林匋平だよな?聞いたって、何を?

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テルミヤコウジ(プロフ) - らむねさん» せ、宣伝下さりありがとうございます!お友達BAE推しなんですね!もしこちらに赴く機会があればぜひとも仲良くしたいです!(笑) (2021年9月13日 19時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
らむね - アレン推しなんですね!私の友達にもBAE推しの子がいて仲良くなれそうですねwwwもちろんその子にもこの小説おすすめしましたよ! (2021年9月13日 16時) (レス) id: 663a3c4de7 (このIDを非表示/違反報告)
テルミヤコウジ(プロフ) - らむねさん» 椿さん、出したかったんです!情報全然ないからキャラクターつかめてるか分からないですけど…。コズメズ好きなんですね!私はアレン推しです! (2021年9月10日 23時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
らむね - 椿さんがでてくるとは....。椿さん結構好きなので嬉しいです!でも推しは那由汰&珂波汰ですw (2021年9月10日 21時) (レス) id: 663a3c4de7 (このIDを非表示/違反報告)
テルミヤコウジ(プロフ) - らむねさん» らむね様!本当に何度もコメント下さりありがとうございます。夢主さんのイメージを気に入ってくださり、光栄です!今後とも頑張っていきますので、よろしくお願いします! (2021年9月5日 20時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テルミヤコウジ | 作成日時:2021年8月17日 23時

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