羅刹の幻影は囁く part5

【170】＿＿神林SIDE ページ11

アイツの首元にあるタトゥー。
形はバーコードのような形をしていたのが目に入った。


まさか…とは思ってはいたが、あの様子を見る限り、アタリだな。
だとしたら、依織が気に掛ける理由もちっとは分かる。



アイツのスマホのメール、依織のばっかだったし、内容が殆どアイツを心配しているもんだった。ただ、依織の女かと思ったがそうじゃなさそうだな。

依織の好みってあんなんだったか？
恐らく四季より年上だと思うが、俺らとは5つくらい離れてるだろ。

見た目ひょろいし、四季やリュウより細い。何より、胸がねぇし、ただの骨だろ、アレ。



顔は美人だが…………店にいる女の方がいいやついるだろ。
んな、夢中になれる女とは思えねぇんだがなぁ。


ややデリカシーにかけるが、アイツ自身「減るもんもない」と言っていたから、これ位気にはしないだろ。



すると、ノック音と共に扉が開かれた。
動くなって言われてるのに…声出せよ、声。




『巻き終わった。これ、タオルと前着てたシャツ』
神林「声掛けろって……」



俺のシャツだから体格差を考えてブカブカなのは当たり前だ。
さっきは首元しか見てなかったが……いや、マジでブカブカだな。



つーか、細っ。



予想外の細さにジッと凝視してると、『何？』とやや不快そうに眉を顰められた。
いや、何って……。




神林「ちっさ、と思って」




その瞬間、目の前のアマの拳が俺の腹に沈んで、一瞬だけ意識が飛んだ。

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