【103】＿＿那由汰SIDE ページ10
珂波汰が生き生きと、あの女の後を追いかけてる。
傍から見ればストーカーみてぇなんだけど、まぁ楽しそうだからいっか。
遠巻きに見る女の背中は俺らと同じくらいにみえて、ちょっとだけ背が高い。
仕事って、珂波汰がよくやってる危ない仕事なのかな…。
アイツは姉ちゃん……さっき珂波汰にも言ったけどちょっとだけ似ている。
雰囲気とか全然別なのに、ただ何となくだった。
姉ちゃんっても、俺らと血がつながってない。
俺らがママ……母さんに暴力振るわれてた時、よくお菓子なんかをくれた1つ年上の女の子。
俺も珂波汰も、姉ちゃんって呼んで慕ってた。
姉ちゃんも、俺らと似てて、肌とかに痣があって、会うたびにボロボロだった。
そのたび、俺たちは3人で寄り添って、傷の手当なんかをしてた。
けど、ある時を境に、姉ちゃんが俺らの前に現れなくなった。
いつも待ち合わせの路地も、大人から逃げ出すための抜け道も、探したけど見つけられなかった。
俺らを置いて逃げたのか、はたまた死んだのか、ガキだった俺らには分かんなかった。
あの時はショックだったけど、実際考えれば、当然のことだ。
逃げたにしろ、死んだにしろ、どうしようもない生活だったから…。
それに姉ちゃんには俺みたいに………珂波汰がいなかったから。
珂波汰「那由汰、もっとしゃがめ。じゃないと見つかる！」
那由汰「……珂波汰の声が大きくて逆に見つかるよ」
俺をいつも守ってくれる大事な片割れ、大事な兄貴。
ちょっと子供っぽくて、喧嘩っ早くて、後先考えない事もあるけど…それは全部、俺を守るための裏返しだ。
俺は珂波汰の為だったら何でもする。
姉ちゃんがいなくなって、珂波汰しかいなかったから。
けど、……珂波汰が姉ちゃんみたいに、俺をおいて離れるなら、俺はその時……
珂波汰「那由汰」
珂波汰「！」
パシッと俺の手がとられる。
いつの間にか、珂波汰と距離が出来ちまってたみたいだ。
珂波汰「ほら、しっかり掴まれよ。おいていくぞ」
那由汰「……うん、わかった」
今は、考えるのを辞めよう。
俺は、珂波汰の側にだけいればいいんだから。
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テルミヤコウジ(プロフ) - KARAKARA666_さん» ありがとうございます！これからも更新続けていきますので、よろしくお願いします！ (2022年1月9日 9時) (
レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
KARAKARA666_(プロフ) - 素敵な作品を作ってくださりありがとうございます。これからも楽しみにしています (2022年1月8日 2時) (レス) id: c4cee0671b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：テルミヤコウジ | 作成日時：2021年7月17日 23時
