【DESIRE】20 ページ49
夏準「なぜか、それは……“貴方”を信じられないから、違いますか?」
貴方、という部分に那由汰を指し示しながら言う夏準。
怒りの表情から感傷の色が那由汰の顔に現れる。だがそれを隠そうとしながら「そんな事と…」と力なく呟く。
そんな那由汰に容赦なく夏準は言葉を吐き続ける。
夏準「可哀想に……信頼できるcrewのいない珂波汰君も、たった一人の兄弟に信頼されない貴方も」
那由汰「っ……ち、ちがっ…」
『おい、夏準!』
__「好き放題言ってんじゃねぇ!!!!!」
Aの声をかき消すように、空気を塗り替えるように、今まで黙っていた珂波汰が怒号を放った。
珂波汰「今まで俺たち2人が、どんな気持ちでマイク握ってきたのか!!!
…っ、知りもしねぇ奴が…お互いを知らねぇだ…? ふざけんのも大概にしろっ!!!!!」
アン「なっ…し、知る訳ないでしょ!アンタたちがどうして来たかなんて!」
珂波汰「親の顔も知らねぇ、ゴミみたいな大人に金づるにされて、酷ぇ目にあわされてっ!」
夏準「だからって、メタルを盗んでいい理由にはなりませんよ」
珂波汰「俺たちは、勝たなきゃなんねぇんだ!!!
ゴミ同然の扱いされてきて、ようやく周りの奴認めさせられたのがHIP HOPなんだ…っ。
地位も肩書も、関係ねぇ!俺はParadoxLiveで優勝をもぎ取って、俺たちを馬鹿にしてきた奴らを黙らせて、なりあがるんだよ!」
「それならっ!!」とアレンが訴えるような声を上げた。
アレン「俺たちだって、同じだ!!」
珂波汰「っ…同じなわけねぇだろ、馬鹿いってんじゃねぇよ!!」
アレン「育ってきた環境が違うのは、そうかもしれない!
でもっ、俺たちも裏切られて、見捨てられて……っ、それでHIP HOPにたどり着いたんだ!」
珂波汰「重さが違うんだよ、赤髪ィ!!」
アレン「違わない!!HIP HOPは平等だ!誰が作ったか何て、関係ない!
自分の辛かったこと、向き合いたくない事をリリックにして武器にする!
今までの自分をなぎ倒すために、表現する!なにも…違わない!!」
アレンの言葉に、黙り込む珂波汰と那由汰。
アレン「そうして…自分を、自分たちを表現してきたんだろ?お前も……っ、俺たちも!」
アン「……アレン」
那由汰「…………珂波汰」
珂波汰「くっ……ぅ」
珂波汰を呼ぶ那由汰。その呼びかけに返事を返せず、唇を噛みしめ震える珂波汰。
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テルミヤコウジ(プロフ) - KARAKARA666_さん» ありがとうございます!これからも更新続けていきますので、よろしくお願いします! (2022年1月9日 9時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
KARAKARA666_(プロフ) - 素敵な作品を作ってくださりありがとうございます。これからも楽しみにしています (2022年1月8日 2時) (レス) id: c4cee0671b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テルミヤコウジ | 作成日時:2021年7月17日 23時