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【121】__アレンSIDE ページ29

両親に束縛され、奪われて、何もかも諦めかけた時の俺に。





アレン「…………いや、いい」




それだけしか俺には絞り出せなかった。
俺のそんな心情を察してか知らないけど『そう』とだけしか返してくれなかった。



静まった空気の中、これ以上何を言えばいいのか出てこない。
こういう時、頭がいい夏準なら、迷いがないアンならどうするだろう。

モダモダと考えていると前からため息が聞こえてきた。




『考えすぎ』

アレン「え」

『誰もお前に何か言ってほしいとか求めてない。そんな顔するな』

アレン「そんな顔って……ふがっ!?」

『“僕、いけない事を聞いちゃった”って顔だよ。辛気臭い空気嫌いなんだ、少しはポーカーフェイス守れ』



俺はいきなり鼻を摘ままれ、顔をゆがめるしかない。
パッと離された鼻をさする、これ痕とかになってないよな…。


摘ままれた鼻をさすっていると、ぶはっとAが噴き出した。
そのまま顔を俯かせて、細かに震えている……つうか、笑ってるだろ!




アレン「な、なんで笑ってんだよ!お前のせいだろ!」
『はははっ、あー、悪い、悪い。お前、やっぱり似てるなって』
アレン「は?似てる?誰に」
『知り合いだよ、私の』



笑い過ぎたからか、あらぶった息を整えてそういうA。
そのあどけない笑みを見た時、いいトラックが浮かんだみてぇに胸が轟くように弾んだ感覚がした。


・・・なんだ、今の?



そんな俺に気付きもしないAは俺に似ているっていう知り合いの事を懐かしむように話している。



『私の知り合いもお前みたいにHIP HOP大好きで、ド直球の馬鹿だったんだよな。あと子供っぽい』

アレン「…それ、俺に懐かしむってことは褒めてないだろ」

『いい味出してると思うぞ。子供っぽくて』

アレン「俺21だからな!」


年齢を叫ぶと、「え、嘘だろ」と真顔になる。
クソ、初めてアンにあった時とおんなじ反応しやがって…。




『じゃあもうちょっと落ち着くことだな』
アレン「なっ!お、大きなお世話…っ!」
『じゃあね、アレン』



トンッと額を小突かれて、よろめいた。
その捨て台詞と共に、Aは俺に背を向け、青になった信号の方へ走り出した。



アレン「……っ、何だよ、あれ」



小突かれた額と同じくらい、胸が動機を打ち始める。
胸焼けみたいな感じなのに不愉快じゃなくて、逆に心地いいとすら思える。


それでもこの感情が理解できなくて、グシャッと頭を掻いた。

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テルミヤコウジ(プロフ) - KARAKARA666_さん» ありがとうございます!これからも更新続けていきますので、よろしくお願いします! (2022年1月9日 9時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
KARAKARA666_(プロフ) - 素敵な作品を作ってくださりありがとうございます。これからも楽しみにしています (2022年1月8日 2時) (レス) id: c4cee0671b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テルミヤコウジ | 作成日時:2021年7月17日 23時

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