羅刹の幻影は囁く (ページ31)

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アレン(あんな奴、学内にいたっけ……って、え？)

フードを外しているAを見たことがないため、アレンは首をかしげていたが、その側で丸まって眠っているチンチラを見て驚愕した。

アレン「アイツ、もしかして彫金師？(お、女？い、いやアンみたいに女の恰好しているだけかも)」

かなり失礼な事を思いつつ、ソーッと席に近づき、向かい側の席に座るがAは集中しているのか気づいた様子はない。

アレン(………わ、わかんねー。お、女…だと、思う。たぶん)

ここに同じチームのアンがいて、アレンの心境を察していたら彼はボコボコにされていただろう。

ふと、彼女が一心不乱に書いている紙に目を移す。
傍に破られている紙がおかれていたので、気づかれないようにソッと盗み見る。

アレン「…これ、トラック？それに楽譜も」

自分の課題を忘れて食い入るようにトラックが書き起こされたメモを見るアレン。
ビリッとさらに2枚破かれたのを見て、それにも手を伸ばす。

アレン「…！また違うもんだ」

アレンの存在に気付かず、ただひたすらに手を動かすA。
そんなAを見て、トラックメイカーとしての自分がゾクゾクと引き出される。

アレン(なんだ、コイツのトラック。凄ぇ…。1枚、1枚ジャンルが全然違ぇのに…まとまってる。これに音をつけたら、どうなるのか…俺は見たい！)

もはや課題など頭の隅に置いており、ひたすらにAが書き起こしたトラックを眺め、自分もトラックを書き始めるのだった。

なお、ツッコミ＋ストッパーであるBAE2人は授業中である。