g i f t eleven ページ11
音羽side
おかしい。
Aの笑顔には少し違和感があった。
Aだけじゃない。
叶だってそうだ。
あんな事言うなんて思ってなかった。
ノリノリで解決案を出したり、
都市伝説を調べたりしていた。
なのに。
ぼく達のしてきた事を全て崩し去るようなそんな言い方。
その助言をした美愛ちゃん。
まるでこうなる事が分かっていたかのように
美愛ちゃんは怖い。
あの貼り付けられた笑顔が怖い。
何を考えているのかが読めない。
次にどの手を出すのかがわからない。
勿論、それは美愛ちゃんだけじゃない。
叶だって、Aだってそうだ。
分からない。
読めない。
予測できない。
それが怖い。
もしかしたらぼく達は、誰かの手の上で弄ばれているんじゃないか？
“それ”はとても悪趣味で幸福をちらつかせて絶望の淵へ導く。
ぼくにはこれらが、そんなふうに思えてならない。
そして本当に願いが叶うと言うのならば......
ぼくが願う事はただ一つ。
ぼくの、
お兄ちゃんを返して。
ただそれだけ。
その為ならば
ぼくは
ぼくの
命さえ投げ打とう。
お兄ちゃんがいないのなら
ぼくの命に意味は無い。
それだけぼくにとって大切な人なのだ。
たった1人の肉親であり、
ぼくの親代わりだった。
そしてぼくへ惜しみない愛情を与えてくれた。
そんなお兄ちゃんが
ぼくの大好きなお兄ちゃんが
あんなふうになるなんて有り得ない。
本来あってはいけないのだ。
だからぼくは“それ”に会ってみたい。
“それ”は希未さんかもしれないし、
もしくは希未さんよりももっと力を持っている人かもしれない。
そしてぼくは“それ”に願いを叶えてもらうんだ。
お兄ちゃんを元に戻してって.........。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白い悪魔 | 作成日時：2017年4月16日 7時
