44話 ページ6
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その夜は全く眠れなかった。
まだ残る太宰さんの唇の感触や熱が冷めるとこなく私はそのまま朝をむかえた。
今日も朝から探偵社へと行かなくてはならない。初めて『行きたくない』と思ったかもしれない。
いつもは太宰さんが私の部屋まで一緒に行くから少し会うのが気まづい。
そう思っていれば、玄関のチャイムが部屋に響いた。反射的に跳ねてしまった体。
必要もないのに足音を立てないようにゆっくり玄関に向かいドアの前で深呼吸してからそっと扉を開けた。
「おはようございます!Aさん」
『あ、敦くん?』
扉を開ければそこにいたのは太宰さんではなく敦くんだった。
『どうして敦くんが?』
「Aさんを迎え行って欲しいと太宰さんに頼まれて。一緒に探偵社に行きましょう」
にこりと微笑んでいる敦くんに私も微笑み返し『すぐ支度するから待ってて』と一度扉を閉めた。
太宰さんが来ないのはやはり昨日の事が原因だろう。
でも、いつまでもうじうじしてられない。
太宰さんとはこれから何回だって会うんだし、昨日のことをちゃんと謝ればいいだけ。
私は自分の頰を両手でパシッと叩き、『よし!』と気合を入れた。
敦くんと探偵社へ出勤。
探偵社の皆さんに『おはようございます』と挨拶をして自分の作業椅子へと座った。
そして、辺りを見渡すが……。
(____太宰さん、いないなぁ)
太宰さんは椅子にもいつも寛いでいるソファーにもいなかった。
誰も座っていない彼の椅子をボーッと見ていると「A」と私を呼ぶ声。
後ろを振り向けばそこには与謝野さんが立っていた。
「太宰と一緒じゃないのかい?」
『……はい。』
返事とともに俯いてしまった。
そんな私を見たのか与謝野さんは「はぁ、太宰も困った男だねぇ。まったく」と呟き、「何かあったら妾に云いな。いつでも相談に乗ってやるよ」と私の肩をぽんぽんと優しく叩く。
『はい、有難うございます』
与謝野さんの背中にそう云い、私も自分の仕事に取り掛かった。
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Kigiri(プロフ) - 詞の選び方一つ一つがとても好きです。新作を心待ちにしています!! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 9b7da1f6da (このIDを非表示/違反報告)
るーりー(プロフ) - とってもおもしろかったです!新作も楽しみにしています! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 015d425faa (このIDを非表示/違反報告)
真緒(プロフ) - ン"ーーーー面白かったです!!!!!!番外編お願いします!!! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 290bbc209c (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - 沢山ある文ストの夢小説から,たまたま見かけて,面白そうだったから,前作の1話から今作の49話まで全て読みました。面白いと思います。次の50話の展開が気になりますね。今後も更新を楽しみにさせていただきますね(^_^)作者さん,頑張って下さい(^_^) (2019年4月22日 7時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
Kigiri(プロフ) - ほんといつも読んでいてどきどきします!!もう穴が開くほど読み返しました!!((← 応援しています!がんばってください!!!! (2019年4月22日 3時) (レス) id: d36ce0e605 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年4月15日 23時