66話 ページ30
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「わかった。___約束しよう。」
だから太宰はそう云うしか出来なかった。その言葉を聞いて微笑んだAはそっと繋いでいた手を離し、そして呟いた。
『異能力《清星の光》』
ポートマフィア本部上空に巨大な星の紋章が浮かび上がった。
太宰はその星を見上げその中心にいる彼女に届くはずのない手を伸ばす。
A
君は如何してそんなに輝ける
マフィアは闇の世界
なのに如何して君は私の光であり続けるんだ
どんどん近づいてくる飛行機。
それを見てAはゆっくりと両手を翳した。
『星よ 光よ 我に宿り 悪しきものを祓い給う』
そして___
星の紋章と速度が止まらない兵器を積んだ飛行機が衝突し、光がそれを消し飛ばした。
辺りが物凄い量の光で包まれ、太宰は目を瞑る。
A自身の体も光に包まれていく感じがした。意識が真っ白になっていく。
「なぁ、A。 帰ったらよ、手前に云いたい事がある」
ごめんね、中也
話聞いてあげれそうにないや
本当に、ごめんね
そしてAの意識は体と共に消えたのだった。
「あの星……。」
俺は拠点から離れた場所での抗争の鎮圧を任されていた。太宰とAとは別行動だったのだ。だから、拠点の上空に浮かび上がった星の紋章に驚きを隠せなかった。
その星が一層光った瞬間。
遠くでAに呼ばれたような気がした。
急いで拠点へ戻って首領の部屋へと廊下を走っていれば前から来たのは太宰だった。
包帯に隠れた右目はおろか左目も髪にかかっていて表情は判らなかったがすれ違いざまに太宰は云った。
「Aは、___消えたよ。」
その太宰の言葉だけが俺の頭に酷く鉛のように残った。
守ってやれなかった
傍にいてやれなかった
何よりも誰よりも大切な女だったのに
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Kigiri(プロフ) - 詞の選び方一つ一つがとても好きです。新作を心待ちにしています!! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 9b7da1f6da (このIDを非表示/違反報告)
るーりー(プロフ) - とってもおもしろかったです!新作も楽しみにしています! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 015d425faa (このIDを非表示/違反報告)
真緒(プロフ) - ン"ーーーー面白かったです!!!!!!番外編お願いします!!! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 290bbc209c (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - 沢山ある文ストの夢小説から,たまたま見かけて,面白そうだったから,前作の1話から今作の49話まで全て読みました。面白いと思います。次の50話の展開が気になりますね。今後も更新を楽しみにさせていただきますね(^_^)作者さん,頑張って下さい(^_^) (2019年4月22日 7時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
Kigiri(プロフ) - ほんといつも読んでいてどきどきします!!もう穴が開くほど読み返しました!!((← 応援しています!がんばってください!!!! (2019年4月22日 3時) (レス) id: d36ce0e605 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年4月15日 23時