そして誰もいなくなった ２

生田　　雨の記憶2 ページ15

生田side
　
　



　
　
　
　
ザァー、ザァー、ザァー



警視総監室の窓ガラスに強い雨が打ち付ける。

目の前の革張りの椅子に座って



「…お前は暫く大人しくしてろ…今回以降はもう俺でも無理だからな」ｶﾞﾁｬ





「…さーせん」




目の前で受話器をあげるのは、警視総監どの
…いや、親バカが過ぎるただの親父かな？

出来の悪い息子の尻拭い。



「…もしもし、私だ。すまんが…例の対象者リストを持ってきてくれないか、…そうだ」




"対象者"とは？

その時の俺はまだ知らなかった。







後日。


俺と同僚の小栗が別室に呼ばれた。
そこにはいつもと違う無表情の上司。




小栗「…は？」

上司「…君に違法な情報取引の疑いがかかっている。」





そこで気づいた。


"対象者"とは
居ても居なくても構わない
俺の尻拭い対象者リストの事。





上司「まぁ、情報元も抹消されたようだから、こちらとしてもオオゴトにするつもりはないんだ…」ﾄﾞﾝｯ





目の前には、
札がはみ出したボストンバッグ




小栗「…」




上司「これで、手を打とうじゃないか？小栗君…」






小栗「辞めろって事ですか？俺に…罪を被せて…」



「…」



小栗「口止め料って…そういう事ですか？」



上司「小栗君…オオゴトに、したくはないんだ。…君も嫌だろう？可愛い娘ができたばかりだそうじゃないか…」


「…！！」






小栗は、警察を辞めた




「……生田…お前、くそだな」




俺に、一言そう吐き捨てて…。

その後奴がどうなったか俺は知らない。









あーあ、つまんね
つまんねーなー


何か面白いこと


ないかな…








結局警察は辞めた。


そして


その後テレビ局にワイドショーのコメンテーターとして1度呼ばれた。






何でって？




「日本警察の闇を暴くために身を呈した、元刑事」



ってことでさ。







…あ、何で今






…こんなこと





…思い出したんだろ？







…それは走馬灯のように。







…そこで意識が途絶えた。









。

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