夢だったら ページ39
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ドッペルゲンガーって、会ったらどっちか死ななあかんねんで。
え？なんで…
さあ。同じ人間ふたりもいらんわってことなんちゃう。
いつかの裕太くんとの会話が、頭をよぎった。
同じ人間はふたりもいらない
どちらかが死なないといけない
俺とAは、一緒だったんだ。
前も誰かに言われたことあっただろ
似たもの同士だって。
そんなわけないって思ってたけど
あれ、ほんとだったんだ。
俺らの間にある240メートルを
俺らは、見誤っていた。
どこだったんだろう
どこで間違えたんだろう
ああなんで
なんで、こんなとこ来ちゃったんだろう
さっきまで自由の女神を見ていたAは、いつの間にか、俺のことをじっと見ていた。
目が合って、風になびくワンピースが、綺麗で。
…なんで来ちゃったんだ
なんで気付いた。最悪だよ。
「……A、」
「……。」
「………変わんないね、…240メートルなんて、全然。」
「……うん。」
「……目に、焼き付けといてよ。」
「……うん。」
「………すげえ、言いたくないけどさ、」
「……。」
「……俺ら、…一緒にいちゃいけないって、気付いた。」
観光客であふれるリバティ島
自由の女神の真ん前で
こんな、青空の下で
「……もう一緒にいられない。」
自分でも、自分がわからない。
きっとAも同じ。
俺らがこんなふうになってしまったのは
お互いに原因があって
でも、その原因を断ち切れないから、このままだと多分一生同じままで
やっぱり、終わらせなきゃいけなかったんだよ。
Aがボロボロになって喜ぶのなんて、俺だけ。
そんなの間違ってる。
Aは自由の女神だよ
俺のマンションに
あの部屋に、閉じ込めていて、良いわけがない。
…良いわけがないだろ。
「……なんで…」
「……こんなにボロボロになるまで、一緒にいさせてごめん。今なら多分、まだ、」
「あの子のとこに、行っちゃうの？わたしダメなとこあったら直すよ、だから、」
「違う。」
「だってそうじゃん、…そうじゃん、やだよ……やっぱりこの旅行も、そういう理由だった？……玲於くんはわたしのことなんて、全然好きじゃなくて、」
「好きだよ、なんで…なんで分かってくんねえの、こんな好きなのに。今だって大好きだよ、世界で一番だよ。でもさ、一緒にいられないんだよ、分かってよ。」
Aより先に、泣いてしまった。
そんな俺を見て、Aは両手で顔を覆って、苦しそうに俯く。
全部夢だったらいいのにって思った。
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a - もう何回読んだか分かりません。当時GENEが大好きだった私も今では予定があえばライブに行く程度ですが、未だに何回もきなこさんの作品を読んでしまいます。こんなに大好きだと思える作品は他にありません。当時も今も変わらずいちばん大切な作品です。 (11月26日 9時) (
レス) @page50 id: fb27f2c91a (このIDを非表示/違反報告)
また会いたいです - きなこさんは今は何をされていますか？ (9月26日 19時) (レス) id: e10e58a731 (このIDを非表示/違反報告)
mchar(プロフ) - もう3回くらい読んでます。毎回泣いてしまうし、寝る間も惜しんで読んでしまいます。もう玲於のファンは卒業していますが、きなこさんが書く玲於が好きです。 (7月3日 8時) (レス) @page50 id: 895ee9ba7d (このIDを非表示/違反報告)
ナカム(プロフ) - 後半は特に心がギュッと掴まれて苦しくなっちゃうくらい感情移入してしまいました、、素敵な作品をありがとうございます！！2人の会話のテンポ感と雰囲気がすごく好きでした！！！ (7月3日 2時) (レス) id: a627fc4932 (このIDを非表示/違反報告)
まるこめちーは(プロフ) - やっぱ玲於……カッコイイーーー！！！！！と思いました！笑 長々と失礼いたしました。 (2023年1月27日 19時) (レス) id: 58d12bf03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2019年12月1日 22時
