検索窓
今日:7 hit、昨日:38 hit、合計:609,017 hit

全部俺の ページ17

.



「熱くないですかぁ。」
「熱くないでーす。」
「かゆいところないですかぁ。」
「…いやそれ聞くのシャンプーの時じゃね?」


ソファーに座ってるAと
その下のラグに座ってる俺
突如始まった美容師さんごっこに付き合う。

もう乾いたよいいよいいよ
言いたいけど、楽しそうにやってるから我慢。


「おにいさんカッコいいですねぇ。」
「あーよく言われるんすよ。」
「芸能人に似てるとか言われません?」
「言われます言われます。」
「さのれおくんとか?」
「あーそれ言われますねー。さのれおに似てるなあって。つか本人?って。」


けらけら笑うA
子どもか!ってつっこみたくなる。
正面のテレビ、その黒い画面に反射した俺らの姿
いやあ、最高だな。


「おにいさんこれからどこか行かれるんですか?」
「あーハイ。彼女の家に。」
「えーいいですねぇ。」
「でもこれが困った彼女でー、ふざけてばっかで全然相手してくれないんすよねぇ。」
「えー、大変ですねぇ。」
「俺的にはもう今すぐね、ガッといっちゃいたいんすけどね。」
「…ガッと。」
「……ガッとね。」


う、って、一瞬手を止めたA。
その隙を突いて、ドライヤー奪った。
オフにしてソファーに放り投げる。


「わ、」
「ガッときた。」
「…ほんとにガッときた。」
「…もうちょいいっていい?」
「……もうちょっとだけなら…」
「…じゃあもうちょっとね。」


もうちょっと、のぶん。
Aをラグに引き下ろしながら、キスして
ソファー背もたれに、逃げらんないように、ちゃんと押さえて。


「…あ、も、もうちょっとのぶん、終わり。」
「……早。」
「……心の準備が…」
「じゃあ暗くしてあげるわ。ベッド行こ。」


顔真っ赤にして頷いたAに
もっかい、優しく抱きしめてキスをした。
かわいくてたまんない
丸っこい身体、柔らかい肌
産毛や足の指に至るまで、もう全部。


その全部に、優しく触れる。
どこも見落としたくない。
全部、全部俺の。

Aは少し潤んだ瞳で俺を見上げた。
なんも緊張することないよ
言うけど、唇は結ばれたまま。


「…大丈夫大丈夫。」
「……うん。」
「…いやだったらやめるから。」
「……いやなわけないよ。」


その言葉を合図みたいに、俺の理性はぶっ飛んで
今まで我慢してたぶん、本能が全部溢れてくる。
俺とAの間には、1ミリの隙間もない。


好きで好きでたまらなかった。
俺が名前を呼ぶたびに、Aは泣きそうな顔をしていた。


.

泣き声→←合鍵



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (979 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3212人がお気に入り
設定タグ:佐野玲於 , GENERATIONS
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

a - もう何回読んだか分かりません。当時GENEが大好きだった私も今では予定があえばライブに行く程度ですが、未だに何回もきなこさんの作品を読んでしまいます。こんなに大好きだと思える作品は他にありません。当時も今も変わらずいちばん大切な作品です。 (11月26日 9時) (レス) @page50 id: fb27f2c91a (このIDを非表示/違反報告)
また会いたいです - きなこさんは今は何をされていますか? (9月26日 19時) (レス) id: e10e58a731 (このIDを非表示/違反報告)
mchar(プロフ) - もう3回くらい読んでます。毎回泣いてしまうし、寝る間も惜しんで読んでしまいます。もう玲於のファンは卒業していますが、きなこさんが書く玲於が好きです。 (7月3日 8時) (レス) @page50 id: 895ee9ba7d (このIDを非表示/違反報告)
ナカム(プロフ) - 後半は特に心がギュッと掴まれて苦しくなっちゃうくらい感情移入してしまいました、、素敵な作品をありがとうございます!!2人の会話のテンポ感と雰囲気がすごく好きでした!!! (7月3日 2時) (レス) id: a627fc4932 (このIDを非表示/違反報告)
まるこめちーは(プロフ) - やっぱ玲於……カッコイイーーー!!!!!と思いました!笑 長々と失礼いたしました。 (2023年1月27日 19時) (レス) id: 58d12bf03b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きなこ | 作成日時:2019年12月1日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。