240メートルの誤算5【佐野玲於】

頑張って ページ11

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メシ終えて風呂も入って
Aが器用にペディキュア塗ってるのぼおっと見て
2時をすぎたところで、ようやく寝室に。

でもなんか眠くないねってなって
ベッドの上で、ふたりでスマホゲームをする。


「わ、また勝っちゃった。」
「あーークソ、腹立つ。」
「玲於くんってほんとヘタ。」
「いやお前がレベル違うんじゃん。」
「わたし普通だし。」
「ムカつくまじで、ちょもっかい。」


リトライのボタンをタップすると
Aはけらけら笑いながら、仕方ないなあって呟いた。


「…お、今回俺いい感じ…」
「……ねえ玲於くん、あのね、」
「ん？」
「友だちがね、」
「友だち？女の子？」
「うん。」
「なに？」
「友だちがね、……あぶな！負けそうだった。」
「くっそ。」
「あ、友だちがね、長期の有給インターンっていうのを、紹介してくれて、」
「有給インターン？」
「広告会社で働いてる子なんだけど、インターン募集してるらしくて、声かけてくれたの。」
「ふうん。」
「どう思う？」
「……んー…」


ゲームに夢中で全然話を聞いてなかった俺
そんな俺を見兼ねて、A、ちゃんと話聞いて！って怒った。
一瞬で負かされたし。


「容赦ないな。」
「話聞いてくれなかったから。」
「え、なに？インターン？広告会社の？」
「そう、インターンっていっても、ほとんどバイトみたいな感じらしいんだけど…」
「時給？」
「うん。1300円。」
「…それっていいの？」
「いいと思う。」
「ふうん。…広告会社って？なんの？」
「CMとか、結構有名なのある。」
「すげえ。え、それって就職に繋がったりすんの？」
「友だちがね、融通きかせられると思うって言ってくれてる。」


Aが広告会社か…
でも、センスはあるし、もしかしたらCMって、仕事で会えたりするんじゃ…？とか思っちゃって。


「…もお、なんでにやにやしてるの。真剣に考えてよ。」
「ごめん、考えてる。いいんじゃね？好きでしょ、そういうなんか、制作的な。」
「うん、けど自信ないかも…」
「自信なんてあとからついてくるもんだって。失敗したら笑ってあげるから。」


そう言うと、今度はAがにやにやしだす。


「…お前もにやけてんじゃねえか。」
「あは、嬉しくてつい。」
「……頑張ってよ。」
「うん、頑張ってみる。ありがとう玲於くん。」


そのあと、Aが寝落ちするまでまたゲームした。
肩までそっと布団かけてやると
Aは、夢の中でも幸せそうに笑ってた。


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