いっそ ページ33
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あと10分で、1時。
秒針の音がやけに大きく響いていた。
「…そんなわけないでしょ。」
「……玲於くんとAちゃんって、似たもの同士だよ。…ふたりとも一緒じゃん。」
「……。」
「好き過ぎて苦しいから、他の場所で息してるだけじゃない。」
俯きながらそう言って、少し笑う。
俺はただ、その横顔を見ることしかできなかった。
「玲於くんが一番、嫌だったことは何？」
「……外に連れてってやれなかったこと。」
「…外に？」
「…大事にしすぎて、外食にも全然行かなかった。絶対バレたくなかったから。…デートも行ってない。会うときは絶対家の中で、Aんちに行くにも、わざわざ服着替えたりしてた。」
「……そんなに…」
「…でも、多分Aはそれが嫌だったんだと思う。吉川くんも、古本屋の大学生も、あいつらなら、Aを外に連れ出せるから。」
だんだん小さくなる声でそう絞り出すと
さくらちゃんは、バカにするみたいにけらけら笑った。
拍子に缶ビール倒しそうになって、慌てて手で支える。
「危な…え、なに？なに笑ってんの。」
「だって、全然分かってない！玲於くんってほんとバカ。」
「はあ？」
「Aちゃんがそんなの望んでるわけないよ！Aちゃんは、元彼のお店のパーティーで、ぼおっと虚しそうな顔してた玲於くんが好きなんだよ。わかる？」
「……。」
「キラキラしてない、素の玲於くんが好きなんだと思う。多分、家で一緒にいるだけで良かったんじゃないかな。」
なんでわかんない？って、また笑われた。
…いや、わかんねえよ
確かにあいつは、外に行きたいって言ってきたりは一度もしなかったけど
でも、それも気遣ってくれてんだと思って
「…玲於くん、Aちゃんのこと全然分かってない。…もしかしたらAちゃんに近付いてた他の人たちは、玲於くんが知らない一面を見てたのかもしれないよ。」
そんな言葉に、どうしようもなく腹が立った。
なんだよそれ。
俺が知らない一面？
俺、4年間も一緒に居たのに？
嫉妬なんて言葉じゃもう、抑えられない。
「…俺ほんとにおかしいんだよ。Aのことになるともう、なんか…」
「元彼も吉川くんも古本屋の子も…憎たらしくて仕方ないんでしょ。」
「……いなくなってほしい。」
「……。」
「……全員、てかもう、…いっそAが…」
最悪なことばかり頭に浮かぶ。
話してくれてありがとうと呟いたさくらちゃんは
気を逸らさせるように、俺の手に酎ハイを握らせた。
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きなこ(プロフ) - とっぽさん» お返事遅くなってごめんなさい！直近で言うと、ただいま初恋5「どうしよう」のページで、軽井沢でふたりで撮った写真とか、得意げなあの顔のイメージでした(^ ^) (2019年12月24日 13時) (
レス) id: 1d09c43b5e (このIDを非表示/違反報告)
舞華(プロフ) - きなこさん！！！！私初めてワンミリのMV見たとき、それこそあの携帯見てるシーン見たとき、占ツク感が凄いって思いました本当に！！やっぱりきなこさんのお話読んでたからそう思ったんだと思いますそしてあれは実際にやってますね！笑笑きなこさんのお話ダイスキです！ (2019年12月24日 13時) (レス) id: 689ff0d5f6 (このIDを非表示/違反報告)
とっぽ - 眉毛をちょっと上にあげて…という台詞は何のお話に出てくるのでしょうか…（；＿；）教えてくださるとありがたいですm(_ _)m (2019年12月2日 21時) (レス) id: 3d038c663d (このIDを非表示/違反報告)
ゆいあ - きなこさん、最高です！！玲於くんの顔を想像しながら読んでいて、いつもドキドキです。今月のviviの雑誌の玲於くんもすごくかっこよかったですよ！よかったら見てみて下さい！！それから話おもろしかったですよ！ぐだぐだじゃないです！！更新待ってます。 (2019年12月1日 21時) (レス) id: a624d1b453 (このIDを非表示/違反報告)
ライ千(プロフ) - きなこさん、いつも楽しみに読ませて頂いてます。私もワンミリのMVを見た時、Mステで踊ってる玲於くんを見た時、あぁ、このお話に出てくる玲於くんだ....と思いながら一人でキュンキュンしてました（笑） (2019年12月1日 1時) (レス) id: a6fe8073c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2019年11月3日 22時
