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かわいそ ページ10

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そのままでいようと思ってたんだよ。
着拒したし、ラインは絶対教えるなって悠太にキツく言ったし
店にはもう、一生行かない。
これで二度と会わない。これでいい。

そう、思ってたんだ。本当に。


「そういえばあの子とどうなったの?」
「え?」
「悠太の店の、ほら、玲於に一目惚れしたっていう。」

深夜の疲れ切った楽屋
メンさんが突然そんなこと言い出した。
再会してから2日後のことだった。

「…なに突然…」
「え?いや単純にどうなったのかと思って。」
「どうもなってないに決まってるじゃないっすか。信用できない。売られたら困る。」
「え?マジ?そんな感じの子じゃなさそうだったじゃん。」
「…でもダメでしょ、さすがに。」
「ふうん。」

そのあと立ち上がりざまに、
かわいそ、って 呟いたメンさん。

…かわいそう?
え、かわいそうって Aちゃんが?

ぽかんと、その意味を考える。
かわいそう
Aちゃんは、俺を好きになりかけてるって、言った。
まずは友達になりたいとも、言ってたっけ。
俺に会いたくて、あの店でバイトして
俺の声聞こえて、裏から飛び出してきて

俺は、自分のことしか考えてなかった。
あの日、彼女の小さな手を引いて店を出たのは俺なのに
あの日、彼女のシャンパングラスを取り上げたのは、俺なのに。

ごくりと唾を飲み込む。
…ほんとだ、かわいそうだ。
俺なんかに見つかったせいで。

それに、気付いた。
俺はまだ、期待してる。
もう芸能人としての線引きは済ませたはずなのに
やっぱりまだ、普通の恋愛に期待してる。
Aちゃんはただの男として俺を見て、好きになってくれた。

あの日から3ヶ月間も、俺を待ってた。


考えが二転三転するそのままの頭で
次の日、悠太に会いに行った。
夜はAちゃんがいるかと思って、昼間に。

「玲於じゃん!」
「なあ悠太、」
「Aのこと着拒しただろ、俺ほんと笑い止まんなくてさ!」

え、Aって
お前呼び捨てなのかよ。
なんて引っかかりながら、レザーのソファーに座り、矢継ぎ早に問いかける。

「そのAちゃんのことだけど、」
「うん。」
「あのコに好きになりかけてるって言われて、俺。」
「らしいね。」
「どうしたらいいわけ。Aちゃんってほんとにいいコ?」




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一般人→←期待してた



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mugi(プロフ) - 自分に重なることが多すぎて、感情移入どころではなかったです。素敵な作品いつも有難うございます。 (2019年11月18日 10時) (レス) id: 4db51b5e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆいあ - きなこさんの作品大好きです! (2019年11月3日 18時) (レス) id: a624d1b453 (このIDを非表示/違反報告)
_myprince8(プロフ) - きなこさんの作品全て好きです。完結まで結びますように!っ (2019年11月3日 10時) (レス) id: bca9b2866b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 私最近の玲於くんの大人っぷりに寂しいって感じてしまい玲於くん見るの少し離れてたんです。だからきなこさんの思ってること同じで嬉しくなりました。今はちょこちょこ玲於くんを応援してるつもりです。笑1日の終わりに読むきなこさんの作品いつも楽しみです! (2019年11月3日 1時) (レス) id: f500b029ae (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - きなこさんの作品の中で一番好きです。人間味があって執着する玲於ちゃんや空回りながらも同じ思いの主人公ちゃん、すれ違いがもどかしいけど読み応えがあって本当に好きです。完結まで頑張ってください! (2019年11月2日 9時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2019年10月10日 22時

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