バランス ページ13
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声が聞きたい
もっかい、会いたい
ふとした瞬間に、そんなことを思うようになった。
再会したあの日から、もう少しで1ヶ月が経とうとしている時だった。
こんなふうに思うのって、俺、Aちゃんのこと好きになっちゃってんのかな。
…うそ、まじで？参ったな。
でも、仕事漬けの毎日でクタクタな俺にとって
唯一の癒しが彼女であることは事実。
あー疲れたって家帰って、ベッドにだらんて横になっても
あそうだライン返そって
そんな風に思えるのも、はじめての体験。
今日は映画見に行った！ってどうでもいい報告すら
なんか、笑えちゃうんだよ。
それと同時に、誰と？って
男じゃないよな？って、思ってしまう俺もいるけど。
メシいく？暇な日ある？
言いたい気持ちはあったけど、やっぱり芸能人としての理性っていうか
そういうのが壁になってて
あいつから会いたいって言われても、ぜってーいやだって断ってた。
そんなふうに、サラッと会いたいって言えるAちゃん。
俺はそれが、羨ましかった。
羨ましかったし、性格的にも立場的にも、俺が言えないぶん言ってくれるっていうのが、ありがたかった。
バランスが良いって思った。
それでもやっぱり、俺も男なわけで。
好きかどうかは分かんなくても、やっぱ、気になるコってことは確かだったから
会いたいなあって思いは、だんだん強くなる。
だんだん強くなって、容量を超えて
そして
「え、玲於じゃん！来るなら連絡しろよ！」
…来てしまった
えぇ、何やってんの、俺。
仕事帰りで疲れてたはず。明日も朝早いはず。
でもどうしても
「…れおさん…」
この声が聞きたかった。
この顔が見たかった。
「…よ、ストーカー。」
「…ストーカーじゃない。」
「今日いたんだ。」
「…うん。」
Aちゃんは俯いたまま、あんまり話してくれなくて。
でもその様子が余計、俺のことを惑わせる。
目を離せなくする。
ずりいな、その感じ。
俺のことほんとに好きなんじゃん。
そんな、耳まで真っ赤にしてさ。
なんだよそれ、そんなの見ちゃったらもう
「…あいつ、今日大人しかったけど…照れてるだけだからね、マジで。玲於とラインするの幸せだっていつも言ってる。」
Aちゃんがバックヤードに入った時
悠太が小声でそう言った。
「…分かってる。」
「分かってる？」
「お前に言われなくても分かってる。」
迷いが、確信に変わった。
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mugi(プロフ) - 自分に重なることが多すぎて、感情移入どころではなかったです。素敵な作品いつも有難うございます。 (2019年11月18日 10時) (
レス) id: 4db51b5e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆいあ - きなこさんの作品大好きです！ (2019年11月3日 18時) (レス) id: a624d1b453 (このIDを非表示/違反報告)
_myprince8(プロフ) - きなこさんの作品全て好きです。完結まで結びますように！っ (2019年11月3日 10時) (レス) id: bca9b2866b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 私最近の玲於くんの大人っぷりに寂しいって感じてしまい玲於くん見るの少し離れてたんです。だからきなこさんの思ってること同じで嬉しくなりました。今はちょこちょこ玲於くんを応援してるつもりです。笑1日の終わりに読むきなこさんの作品いつも楽しみです！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: f500b029ae (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - きなこさんの作品の中で一番好きです。人間味があって執着する玲於ちゃんや空回りながらも同じ思いの主人公ちゃん、すれ違いがもどかしいけど読み応えがあって本当に好きです。完結まで頑張ってください！ (2019年11月2日 9時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2019年10月10日 22時
