検索窓
今日:2 hit、昨日:24 hit、合計:723,380 hit

秘密に ページ26

.



「飽きてないよ、全然。今も読んでます。」
「えっほんとですか?」
「うん。でも、書店で買ってる。書店にないときだけ古本屋さん行ってるけど、前行ったとき、浅井さん、いなくて。」

ゆっくりそう伝えたら
マジかーって項垂れた後

「ちょうどシフト入ってなかったのかな、ツイてないっす。笑」
「そっか、残念。」
「明日は入ってます、17時から閉店まで。」
「…そうなんだ。」
「はい、買いに来てください、俺がまた見つけるから。」
「…あ、えと、行けたら…」
「はい、まってます!」

…べつに、なんでもない社交辞令なんだろうけど
考えすぎる性格のわたしは
行かなきゃいけないかな、とか、玲於くんには黙ってたほうがいいかな、とか、色々真面目に悩んじゃって

「ていうか、すごくないっすか?この前はお姉さんがドアにダイブしたのに、今度は俺。笑」
「あ、うん、すごいよね。わたしも思った。」
「自動ドアのこと信頼しすぎて。笑」
「ふふ、そうだね。」
「あ、そういえば、昼間の電話出てくれたのって、もしかして…」
「あっ、うん、わたし。」
「やっぱり!じゃあえっと、なんだっけ、…Aさん?」

Aさん、か
ちょっと緊張しちゃう。よく名前覚えてるな。

「そうです。A。」
「俺記憶力だけはよくて。」
「…漫画の場所も、すぐ教えてくれたもんね。」
「そうそう、掃除してたら覚えちゃいました。笑」

そんななんでもない会話
駅について、電車乗り込んで、最寄りで降りて
家の方向も一緒だったから、またのんびり歩いた。
浅井くんはすごく優しくて
いつも車道側歩いてくれる。
そもそも男の人とこうやってふたりで歩いたのなんて、いつぶりかな。
夏に、玲於くんと夜中にアイス買いに行ったとき?
それとも、えっと…

「あ、俺ここ右です。」
「あっ、そっか。…じゃあ、ここで。」
「はい。明日待ってます。」

ぺこって頭を下げて、側の道を曲がっていった。
小さくなっていく、その背中
やっぱりまた、懐かしい。
初めて会ったひとなのに、なんで?

もやもやした気持ちを抱えながら、アパートまでの道を歩いた。
部屋について、取り出した携帯
玲於くんからの連絡は無い。

今日すごい偶然があったんだよ。
って、そんなラインをしようかと思ったけど
やっぱりやめた。
悪いことしてるわけじゃないのに、秘密にしてしまった。


.

臆病→←懐かしい



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (527 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2153人がお気に入り
設定タグ:佐野玲於 , GENERATIONS
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Tatsumi(プロフ) - 初めまして!ただいま、初恋一目惚れして、きなこさんの作品を読ませていただいています。こんなにしっくりくる玲於くんは初めてで、主人公ちゃんのキャラも好きで、今やきなこさんの作品や人間性に惚れ込んでいます。沢山の素敵な作品をありがとうございます! (2020年3月27日 10時) (レス) id: ec055f32e6 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - きなこさんのお話全部読んでます!!パスワードかかってるやつ昔読んだのですがまた読みたいので良ければパスワード教えて欲しいです! (2019年10月6日 12時) (レス) id: 5014defe8e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - まってました!きなこさん!おかえりなさい!!!楽しみにしてます! (2019年10月2日 7時) (レス) id: b214cb1e69 (このIDを非表示/違反報告)
ChuRa(プロフ) - ハイスピード大歓迎です!きなこさんの書かれる佐野玲於くんが大好きです。更新楽しみにお待ちしております。 (2019年9月26日 12時) (レス) id: 6da9a38d0b (このIDを非表示/違反報告)
ゆりこ - 待ちきれないので毎日更新してください!!!! (2019年9月26日 1時) (レス) id: cb039e5484 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きなこ | 作成日時:2019年9月13日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。