右手 ページ22
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「今日は本当にすみませんでした。」
「いえ、こちらこそ遅くに来てごめんなさい。」
「とんでもないです！またお待ちしてます。」
本屋さんで、こんなに頭を下げられたのは初めて。
ありがとうございましたってわたしもぺこぺこして、お店を出た。
街灯の下をのんびり歩きながら
素敵な子だったなーって考える。
爽やかで感じ良くて、礼儀正しくて
名前くらい見とけばよかった。
右手に下げた袋をチラ見して、幸せな気分になる。
あの子のおかげで、今日はいい日。
そのとき、ポケットに入れてた携帯が震えて
立ち止まって取り出して見たら
着信 佐野玲於
の文字
「もしもし。」
『おれー。』
「お仕事終わった？」
『んー、一区切りついたって感じ。』
「まだあるの、大変だね。」
『うんー今日は長丁場だわ。』
「ふうん、頑張って。」
『…え？お前今どこいんの？』
近くをバイクが通ったせいかな
玲於くん、声のトーンがあからさまに低くなった。
「ちょっと、外にいる。」
『は？なんでよ。』
「お買い物に。」
『買い物？そんなの明日でいいじゃん。もう0時過ぎてるんですけど。』
「でも、どうしても欲しいものがあって。」
『は？なにそれ。』
「えっとー…シャンプー…」
『…気付けてよ。明るいとこ通って帰って。』
うんって言うと、不満そうに何か言ってる。
嬉しいな、心配してくれて。
『さっきまでゲームしてたくせに。』
「え？なんでわかるの。」
『オンライン状況見た。一時間前ってなってた。』
「ああ、わたしも玲於くんの見たよ。オフラインだったけど。」
『そりゃ仕事中っすから。』
「だよね。…あ、そういえばラインしちゃった。」
『あーうん、それ見て電話した。暇なのかなって思って。』
そう言った後ろで
れおーって、誰かの声がした。
誰だろ、メンバーの誰かかな。わかんない。
「…呼ばれた？いいの？」
『いいよ、それより今どこ？』
「え、えっと、橋渡ったとこ。」
『あー、じゃあもう着くか。』
「うん。」
『お前が家着くまで電話繋いどく。』
「…えっ、いいよ。」
『だからー、そういうときは、いいの？嬉しい！って答えるのが正解なの。もっと夢小説読めって。』
なんで夢小説？って笑いながら聞いたら
この前読んでたでしょ、って。
玲於くんって言うこと適当だもん
それがおもしろいけどさ。
結局そのまま電話しながら
でも右手には
漫画が入った袋を、しっかりと握ってた。
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Tatsumi(プロフ) - 初めまして！ただいま、初恋一目惚れして、きなこさんの作品を読ませていただいています。こんなにしっくりくる玲於くんは初めてで、主人公ちゃんのキャラも好きで、今やきなこさんの作品や人間性に惚れ込んでいます。沢山の素敵な作品をありがとうございます！ (2020年3月27日 10時) (
レス) id: ec055f32e6 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - きなこさんのお話全部読んでます！！パスワードかかってるやつ昔読んだのですがまた読みたいので良ければパスワード教えて欲しいです！ (2019年10月6日 12時) (レス) id: 5014defe8e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - まってました！きなこさん！おかえりなさい！！！楽しみにしてます！ (2019年10月2日 7時) (レス) id: b214cb1e69 (このIDを非表示/違反報告)
ChuRa(プロフ) - ハイスピード大歓迎です！きなこさんの書かれる佐野玲於くんが大好きです。更新楽しみにお待ちしております。 (2019年9月26日 12時) (レス) id: 6da9a38d0b (このIDを非表示/違反報告)
ゆりこ - 待ちきれないので毎日更新してください！！！！ (2019年9月26日 1時) (レス) id: cb039e5484 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2019年9月13日 21時
