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夕立 ページ48





ザーザーって雨の音
地面に打ち付ける雨粒

このバス停、屋根があってよかった
ここでも若干濡れちゃうけど、この雨の中家まで戻るのは、たぶん無理だったから

ちらって先輩見上げたら
髪の毛まで濡れてて、いつもと違う姿に思わずドキッとする
わたしも、髪濡れてる?
せっかく前髪綺麗に巻けたのに、絶対へんな顔になっちゃってるよ

バス停、狭くて
なんだか距離が近い
濡れた肌が少し寒くて
でも、それどころじゃない
…なんか、気まずい

雨すごいね、とか、話題はたくさんあるはずなんだけど
何故か言葉が出てこなくて
たぶん先輩も同じ
目も、合わせられない

どうしようって焦ってたら
先輩の携帯が鳴り出して


玲於「あ、もしもし。……あーうん、いま避難してる。…えーマジ?さんきゅー、…うん、わかった。」


そんな会話
携帯下ろした先輩は、画面についた水滴を払いながら


玲於「なんか、亜嵐くんたち傘持って来てくれるって。」

A「そっか…」

玲於「だからもうちょっと……って…」


わたしのことじぃーって見ながら
そう言ったきり、固まってしまった先輩
え?って思って見上げてたら
はあってため息ついたあと
突然、自分のパーカー脱いで


A「え、ちょ、」

玲於「これ、着とけ。」

A「え!?」

玲於「いいから、…ほらもう、早く。」


ほんと強引に、頭から被せられる
先輩タンクトップだし
わたし、ぶかぶかだし、なんで?って
思ったけど、わかった
わたしもしかして、濡れて 下着透けてた?
今日白のブラウスだったから
たぶん、というか、絶対そうだ

気付いた途端恥ずかしくなって
思わず俯く
…恥ずかしいし、このパーカー、先輩の匂いでいっぱいだし
やばい、頭おかしくなりそう


玲於「……夕立かなぁー。」

A「……うん。」

玲於「…すぐ止むよね、こんくらい。」

A「……うん。」


上手にお返事できなくて
心臓、きゅーってなる
そんなわたしに気付いたのか
先輩、パーカーのフード ぐいってわたしに被せてきた
もおやめてって そのまま見上げたら
目が合って

…なんか、吸い込まれそう
雨の音と、先輩の匂いのせいで
世界に、わたしたちしかいないみたい


そのあとマユちゃんと白濱先輩が迎えに来てくれるまで
お互い、何も喋らないままだった

先輩の 少し大きなパーカー
裾のとこ、ギュって握りしめながら
この夕方のこと きっと一生忘れられないって、心の奥で、確かにそう思ってた


きなこ→←幻想的



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maki(プロフ) - 今まで何お話、読み返したら、やっぱり佐野先輩とうまくいってほしい。。(;_;)先輩!!何してんのーー!!! (2018年8月5日 7時) (レス) id: 9583ac788f (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - ほんとに今一番大好きな小説です。全然話長くしていただいてかまいません!笑更新これからも楽しみにしていますので大変だと思いますが頑張ってくださいね! (2018年7月5日 23時) (レス) id: cb039e5484 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - きなこさんは更新率が高いことだけが取り柄だなんて、全然まったくそんなことないですよ(^^)きなこさんのお話を読むだけで元気になれます。いつもお話を読めること本当に嬉しいです。これからも応援しています。きなこさんの思ったまま書いてください! (2018年7月5日 23時) (レス) id: 49103f1761 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - さいくぅー (2018年7月5日 22時) (レス) id: 527ff0df55 (このIDを非表示/違反報告)
涼夏 - もうきなこさんの伏線が楽しみすぎます!!楽しみにしてます!! (2018年7月5日 22時) (レス) id: c6b1080ab1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2018年6月16日 21時

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