りんごジュース ページ5
．
玲於「……前さ、」
不意に、そう小さく呟いた先輩
え？って返すと、一回けほって小さく咳したあと
また口を開いて
玲於「…前、この4人でカラオケ行ったことあったじゃん。」
A「…3回くらい行った気がする。」
玲於「うん、そう。そんときずっと、お前、りんごジュースしか飲んでなくて、」
A「……。」
玲於「…だから俺、言ったんだ。他にも美味いのいっぱいあるよって。」
A「…そうでしたっけ。」
玲於「…うん。…そんときお前、なんて答えたと思う？」
A「…覚えてない。」
玲於「……わたしにとっては りんごジュースがいちばん美味しいって、言ったんだよ。」
…突然、なんの話だろう
不思議に思いながらも聞いてた
でも、気付いたの
小さな声で話す先輩の目、またくすんでた
虚ろで、焦点が合ってない
玲於「……お前にとってはさ、うん…何気ない言葉だったかもしんないけど…俺、なんか…お前のそういうとこ、すげーいいなって思ったよ。」
力なくそう言ったあと
先輩、とんって わたしの肩に頭を預けた
先輩の重さが直に伝わってきて
身体中が熱くなる
…りんごジュース
好きなのに、理由なんてないんだよ
わたしが好きだから、それでいいんだよ
一度好きになったら、簡単に嫌いになれないよ
先輩は、そういうのを いいなって思ってくれた？
先輩が抱えてるものって、なに？
A「……りんごジュースと…先輩がくれた、はちみつれもんも、大好き。」
思わず出てきたそんな言葉
先輩は、ふふって小さく笑ったあと、いつの話だよって呟いた
先輩の髪の毛
頬っぺたに掠って、くすぐったい
いいにおい
初めて感じた好きな人の重さは、思ってたよりずっと重くて、愛おしかった
A「……先輩、寝ちゃうの？」
玲於「……寝ないよ。」
A「…ほんとに？」
玲於「…うん。」
A「…でも…」
玲於「……亜嵐くんとは、付き合っちゃだめだよ。」
そんな言葉に、一瞬 呼吸を忘れた
あまりに唐突で
ストレートで
なんて答えたらいいか、無知なわたしには わからなくて
でも、そのときまた重くなった肩が
答えなくていいよって 言ってるみたいだったから
幸せすぎて泣きそうになるの
唇噛んで、必死に堪えた
好きで好きでたまらない
わたしがこのひとを守りたい
このひとが抱えてるもの
全部、全身で受け止めたい
心からそう思った
．
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maki(プロフ) - 今まで何お話、読み返したら、やっぱり佐野先輩とうまくいってほしい。。(;_;)先輩！！何してんのーー！！！ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: 9583ac788f (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - ほんとに今一番大好きな小説です。全然話長くしていただいてかまいません！笑更新これからも楽しみにしていますので大変だと思いますが頑張ってくださいね！ (2018年7月5日 23時) (レス) id: cb039e5484 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - きなこさんは更新率が高いことだけが取り柄だなんて、全然まったくそんなことないですよ(^^)きなこさんのお話を読むだけで元気になれます。いつもお話を読めること本当に嬉しいです。これからも応援しています。きなこさんの思ったまま書いてください！ (2018年7月5日 23時) (レス) id: 49103f1761 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(プロフ) - さいくぅー (2018年7月5日 22時) (レス) id: 527ff0df55 (このIDを非表示/違反報告)
涼夏 - もうきなこさんの伏線が楽しみすぎます!!楽しみにしてます!! (2018年7月5日 22時) (レス) id: c6b1080ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2018年6月16日 21時
