ただいま、初恋4【佐野玲於】

両片思い ページ34

．



マユ「なんかいいな〜、両片思いって楽しそう。」

A「両片思い？」


堀田くんの話のあと
そろそろ帰ろうかってお店を出た
電車に乗り込んで、座って話の続き


マユ「両片思いだよ。ほら、お互い片思いしてるの。つまりは、両思い！」

A「やだ、絶対違うもん。佐野先輩はわたしのこと好きじゃないよ。」

マユ「いや〜どうかな。わたしは絶対両思いだと思うけどな。で？いつ告白するの？」

A「うーん…軽井沢の前…？後？」

マユ「え、後にしてよ。カップルの状態で旅行来ないで。笑」


あ、そっか
それもそうだ
いや、違う！そうじゃなくて
振られたときが気まずすぎる
べつに彼女になりたいから告白するわけじゃないけど
さすがに気まずいと思う
じゃあやっぱり、旅行の後？


A「…けど、旅行の後ってすぐ学校始まるよね。」

マユ「うん。いいじゃん。夏休み中に付き合っちゃいなよ。それでさ、クリスマスあたりに初お泊まりがよくない！？」

A「まって！飛躍しすぎ！」

マユ「バカ、ちゃんと考えないと。もう子どもじゃないんだから！」


大人なマユちゃんに
大人な先輩たち
子どもなのはわたしだけで
いままでは、それでもいいよって 許されてきたけど
…さすがに、ずっとこのままでいられるわけないよね

もし、だよ
もし先輩と付き合えることになったら
…手繋ぐのは、たぶん当たり前になる
ギューも、される
え、ちゅーとか…ていうか、それ以上も！
やばい
だって先輩、そういうの慣れてそうだもん
この前までサヤさんと付き合ってたひとなのに
次、わたし？


A「…どうしよ、自信なくなってきた。」

マユ「…佐野先輩ってさ、意外とめちゃくちゃ大事にしてくれそうだよね。」

A「…わかる。」

マユ「でも、慣れてきたら絶対いじわるだよね。」

A「…わかる。」

マユ「……やっぱ最初は、白濱先輩にしとけば？笑」

A「もお、マユちゃん！」

マユ「ごめんごめん。笑」


夢見すぎだって、怒られるかもしれないけど
わたし、佐野先輩が初めて好きになったひとだから
この先経験する全部の初めて、佐野先輩がいいの

手は、もう繋いだ
ギューもしてくれた
夜の道を走ったのとか
ボロボロの時に頼られたのとか
助手席も、プレゼントも
寝る前に思い出すのも

全部、佐野先輩が初めて
この先もっと 先輩でいっぱいになりたいよ

こんなこと考えてるって知ったら
きっと先輩は、バカって笑うんだろうな


．

事件→←一目ぼれ？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す