それだけ ページ17
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もうどれくらい、こうしていたか分からない
先輩がひとりで抱えていたことを考えたら、どうしても泣き止めなくて
偽善者って思われるかもしれないけど、ほんとに、自分のことみたいにつらくて
先輩が今まで負った傷
全部貰いたい一心で、必死にしがみついてた
でも、暫くしてそっと離れた身体
至近距離からわたしを見つめた先輩の目が、綺麗な琥珀色してて、思わず息を飲む
そのまま優しくわたしの頬に手を添えた先輩は
もう泣くな、って 小さく呟いた
A「…だって…」
玲於「……遅くなってごめん。…送るから、帰ろ。」
A「……。」
玲於「…もう23時なるから。」
A「……うん。」
玲於「……ほら、A、」
A「……泣いたから、顔ぐちゃぐちゃ。」
玲於「……ほんっと、手かかるヤツ。」
ほら帰るよ、って
先輩は、自分が被ってたキャップ取って、わたしに強引に被らせた
ぐいってツバ下げて、周りの人から 顔隠してくれる
そのまま、当たり前みたいに手繋がれた
電車に乗り込んでも、繋がれたまま
なんにも話さなかったけど、それでよかった
最寄りで降り、改札を抜ける
南口の階段をゆっくり降りて
古びた街灯に照らされながら、歩道を歩いた
玲於「……手、つめた。」
A「……ちょっとだけ、寒い。」
玲於「…ごめん、俺Tシャツ1枚だから、なんもあげれねえわ。」
A「ううん、大丈夫。」
答えたけど
うんって納得いってない声
ほんとに大丈夫なのにって思ってたら
繋がれた先輩の左手
その親指が優しく、わたしの右手をさすってくれた
無意識にしてるのかもしれないけど
先輩の指から体温が伝わってきて
くすぐったくて、嬉しくて
もう、それだけでじゅうぶんで
ほんと、じゅうぶんなのに
玲於「……あのさ、」
A「……はい。」
玲於「……俺、サヤさんといる時、いっつもカッコつけてて、気張ってて…それで、あーちょっと疲れたなってときに、お前がいたら、なんかすげー安心した。」
A「……。」
玲於「…母ちゃんのこと、お前以外に話してない。話す気もない。…この先、一生。」
力強くそう言い切った先輩は
半歩うしろを歩いていたわたしの手を、ぐいって自分の方に引き寄せた
触れる、腕と腕
少し汗ばんだ先輩の肌が、愛おしくてたまらなかった
…ああわたし、先輩のこと 諦めないでよかった
絶対わたしがこのひとを守るんだ
死ぬまでずっと一緒にいるんだ
このときは真っ直ぐ、それだけを思ってた
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maki(プロフ) - 今まで何お話、読み返したら、やっぱり佐野先輩とうまくいってほしい。。(;_;)先輩！！何してんのーー！！！ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: 9583ac788f (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - ほんとに今一番大好きな小説です。全然話長くしていただいてかまいません！笑更新これからも楽しみにしていますので大変だと思いますが頑張ってくださいね！ (2018年7月5日 23時) (レス) id: cb039e5484 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - きなこさんは更新率が高いことだけが取り柄だなんて、全然まったくそんなことないですよ(^^)きなこさんのお話を読むだけで元気になれます。いつもお話を読めること本当に嬉しいです。これからも応援しています。きなこさんの思ったまま書いてください！ (2018年7月5日 23時) (レス) id: 49103f1761 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(プロフ) - さいくぅー (2018年7月5日 22時) (レス) id: 527ff0df55 (このIDを非表示/違反報告)
涼夏 - もうきなこさんの伏線が楽しみすぎます!!楽しみにしてます!! (2018年7月5日 22時) (レス) id: c6b1080ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2018年6月16日 21時
