2分の1ガールフレンド3【佐野玲於】

杉野くん ページ19

Aside





A「杉野くん、お待たせ。」


杉野「ううん、ごめんね走らせて。」




約束の時間は13時だったのに
もう10分も過ぎちゃった

駐輪場あいてなくて、大変だったの
結局ちょっとだけ駅から離れたとこに停めたけど


息整えながら見上げた杉野くん
久々に会うけど、やっぱりかっこいいし
大丈夫？って聞いてくれるの、すごく優しい


会うの、ちょっと気まずいかなって思ってたけど
意外と普通で安心




杉野「…久しぶりだね。」


A「うん、久しぶり。」


杉野「髪切ったんだ、すごい似合ってる！」


A「本当？嬉しい、ありがとう。でも、見て、前髪は切り過ぎちゃった。」


杉野「あはは、いいじゃん。ちょっと幼く見えるけど。それも似合ってる。」


A「杉野くん、褒めるの上手だね！」


杉野「え？全部ほんとのことだよ！」




うれしーって、けらけら笑う
なんか、前よりも良い関係になれてるかも
なんでかな
杉野くんが、優しいからかな


ランチにオススメのとこあるからって
ふたりで入った、イタリアンのお店

ピザも一枚頼んで
ふたりで分けて食べた

でも杉野くん、食べるたびにけほって咳するし
すぐお水飲むから
なに？って聞いたら、実はチーズ苦手なんだーって




A「言ってくれたらよかったのに！」


杉野「そうだけど、でも、Aちゃんチーズ好きでしょ？」


A「…好き。」


杉野「だと思って。笑」




…なんて優しいひとなの


わたし、おかしいよね
なんで杉野くんじゃダメなんだろう


こんなに優しくて、紳士で
悪いとこなんてひとつもなくて
わたしみたいなダメな子を、好きだって言ってくれてるのに



なのになんで
暫く家帰んないから、って
簡単に出て行っちゃうような
気に入らないことがあったら、すぐいじけて
すぐデコピンしてくる
あんな、ドSで、いじわるで、子どもみたいなひとを…




ちらって周りを見渡したら
幸せそうに笑い合いながらおしゃべりしてる恋人たち
何組かいて


…あのひとたち、すごいな
だって、好きになった人に、好きになってもらえたんだよ

なんで？

好き、って言ったら、僕もだよって、言われるの？
なんで？



わたし、こんなに毎日好きで
ずっと帰ってくるの待ってるのに

それでも、叶わないの
だって、どうしたってわたしは、妹だから



…いま、どこで何してるかな

玲於くんの声
ききたいよ



．

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