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感情 ページ37

亜嵐side





A「わ、わたし?…わたしは…」


「言っときなよ、最後だよ?」





そんな生徒の言葉に 困った顔してるA先生

最後かあって呟きながら、俺の方に一歩近寄った。



ふうって一回息を吐いて

俺を見上げて





A「…白濱くん、一ヶ月お疲れさまでした。」


亜嵐「…あざっす。」


A「……わたしは…」





それだけ言って、言葉が詰まった様子の先生

ん?って問いかけると、苦しそうに笑って





A「…白濱くんに出会えて、本当に幸せです。」





小さな声で、そう伝えてくれた。





A「…白濱くんに出会わなかったら、たぶん今わたしはここにいないし…楽しいとか、苦しいとか…幸せとか、そういう色んな感情を知らないまま生きてたと思う。」





先生がそんなこと思ってくれてたなんて知らなくて

思わず涙が溢れそうになる。




楽しいとか

苦しいとか

幸せとか



…俺も同じ


その感情は、A先生が教えてくれた。






A「…だから、本当に感謝してるの。…4年ぶりにここでまた会えたのも、意味があるって思ってるよ。…ありがとう。」


亜嵐「…俺の方こそ、…ありがとうございます、」






震えながら返事した俺の声に

白濱先生泣いてる!って生徒が騒ぎ出す。



ああもう、やめてよ、ほんと…






亜嵐「…バカ、泣いてねえし。」


「えー、泣いてる!」


「泣いてる!」


亜嵐「あーあーもうやめて。笑」






目元をごしごししながらA先生を見る。



目があうと、優しく笑ってくれて




……ああ、俺

ほんとにこの人が好きだ。





好きな人には幸せでいてほしい

つらい思いとか、悩み事とは 関係ない場所にいてほしい





だから俺は近づいたらいけない


…って、分かってるはずなのに














お別れ会が終わったあと

ひとり向かった数学準備室



ドアを開けた向こうには、デスクに座って俯くA先生がいて。






その向こうから差し込む夕日とか


聞こえるチャイムの音とか






その全てが、4年前のあの日の景色と重なる。





.

影→←最終日



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ゆうき(プロフ) - すごく面白かったです。続編、書いてほしいです。 (2019年9月18日 21時) (レス) id: 9e39fec3dc (このIDを非表示/違反報告)
わたし - 読ませていただきました!続編読んでみたいです!!占ツクでこのお話が一番大好きで定期的に読ませてもらってます!ありがとうございます! (2018年10月5日 23時) (レス) id: 30aa3f8e55 (このIDを非表示/違反報告)
こぁお - うわあ、きなこさん、さすがです。 本当に面白かったです。 感動をありがとうございました。 (2018年2月7日 18時) (レス) id: bd05a1edf1 (このIDを非表示/違反報告)
実波 - 久しぶりに読みました。これ、続編ないんですか?笑 (2017年9月26日 7時) (レス) id: 6e3449be8e (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - しばらく開いていなかった占ツク。きなこさんの最初の作品から読ませていただいています。冬のお話を、夏に読んじゃいましたが、きなこさんの世界観はやっぱり素敵だなと思います。この作品以降のものも時間を見つけて全部読ませていただきます! (2017年8月17日 14時) (レス) id: c2a087ffac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2017年2月1日 21時

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