冬色シルエット【白濱アラン】

最終日 ページ36

亜嵐side






亜嵐「さっむ…」





そして迎えた、最終日の朝



結局気まずい関係からは抜けだけないまま

この日が来てしまった。




…いいよ、もう

旦那の姿見た後に、好きだなんて言えない。



もっと嫌な奴だと思ってたのにさ




そんなこと思ってため息をつきながら

バス停から門に向かって歩いていた。





「白濱先生、」


亜嵐「お、おはよ。」


「あー、今日で終わりなの寂しいな。」


亜嵐「あ、ちょっとやめて泣くから。笑」


「全然涙出てないけど。笑」




ウケる、って言いながら俺を追い越してった生徒


…気持ちのこもってないウケるも、今日で終わりか。



色んなことを思い出しながら

門の前に立って校舎を見上げた。




そんな俺の前を歩いていたのは






亜嵐「…A先生…」






…今日で終わりなんだよな


たぶんもう、二度と会うことはなくて

このまま 終わってく。



真面目すぎる先生は、間違った選択なんてしない。





…それが分かってるなら、

だったら、いっそ






亜嵐「…A先生！おはよ、」


A「っわ、…白濱くん。」






後ろから駆け寄って、ぽんって肩に手置いた。


まん丸い目が俺を見上げて

気まずそうに笑う。




…大丈夫だよ、俺、待ってないから



先生のことなんて待ってない

今日、ここで、全部終わりにするよ。





亜嵐「いやー、早かったわ。一ヶ月。」


A「…うん、そうだね。」


亜嵐「先生俺がいなくなって寂しくなんない？」


A「…寂しくないよ、ちっとも。」


亜嵐「またまた。笑 寂しいくせに。笑」


A「寂しくないもん。」


亜嵐「そ？笑」





じゃあ教室で、って笑顔で言い残し

男性用のロッカールームに入った。



そのドアを閉めて、壁に寄りかかって

大きく深呼吸。




…これでいい。

最後くらい、笑って終わろう。







．







帰りのホームルーム

黒板には、白濱先生ありがとうって大きく書かれていて。



教室も楽しげに飾り付けされてるし


いつの間にこんなのしてくれてた？

ああもう、ほんとに嬉しいわ。




でっかい花束と寄せ書きの色紙を見ながら

当たり前だけど、ほんとに最終日なんだって思い知らされる。



俺もひとりひとりに手渡しでメッセージカードあげたりして、みんなとの最後の時間を楽しんでいた。




そんな中






「宮下先生、白濱先生にお別れ言わなくていいの？」





なんていう、突然のサプライズ。


．

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