優しく ページ18
亜嵐side
亜嵐「…あれ、また斜めってる。」
生徒の最終下校時刻を過ぎた、19時過ぎ。
ひとり教室に入って
明日の授業のシュミレーションをしてた。
何回書いても斜めに下がっちゃうんだよね
なんでだろ。
…字も下手だし…まあ、図はめちゃくちゃ上手い自信あるけどさ。
それから一通り授業通して
気になったとこ繰り返して、説明の仕方とか、A先生の授業見学した時のノート見返したりして
亜嵐「…よっしゃ、完璧。」
満足して時計見上げたら、もう22時過ぎ。
あー、今日は早く帰りたかったのに。
ため息つきながら荷物まとめて、準備室に戻った。
明かりが漏れてる、そのドアを開けると
亜嵐「え、」
A「白濱くん、まだいたんだ。お疲れさま。」
パソコンに向き合ってる、A先生がひとり。
まだいたんだって、いや、こっちのセリフだよ。
亜嵐「何してんの?もう22時過ぎてるよ?」
A「うん、今終わったとこ。」
亜嵐「え…いや、いいの?こんな遅くまで…」
A「え?なんで?だめ?笑」
亜嵐「だめっていうか…その、旦那は?」
春に結婚したんでしょ?
まだ一年経ってない、新婚じゃん。
A「…あー、旦那さん、今日本にいなくて。」
亜嵐「…え?」
A「…外資系のお仕事してる人で、海外出張が多いの。2週間前から行ってて…来週、かな。来週帰ってくるよ。」
……マジ、か。
…いや
別に俺には関係ないけどさ。
…関係、ないけどさ…
亜嵐「…それ、いいの?…寂しくね?」
A「……お仕事だから、仕方ないかなあって。」
…俺ならそんなの、絶対嫌だよ。
結婚したのにそばにいられないなんて
仕事って分かってても、我慢できない。
A先生、そんなんでいいのかよ。
なんでそんなヤツと結婚したの?
先生には、もっとたくさん道があるはずなのに。
…少なくとも俺の方が、幸せにしてあげられるのに。
そんなこと考えて固まっちゃってる俺に
パソコンの電源を落とした先生は
優しく笑って
A「…白濱くんが気にすることじゃないよ。」
いつもの柔らかい声で、そう言った。
…ああ、またこの感覚
突き放されるような
一線引かれたような
……そういうとこも、変わってない。
優しく、優しく
俺を遠ざける。
.
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ゆうき(プロフ) - すごく面白かったです。続編、書いてほしいです。 (2019年9月18日 21時) (レス) id: 9e39fec3dc (このIDを非表示/違反報告)
わたし - 読ませていただきました!続編読んでみたいです!!占ツクでこのお話が一番大好きで定期的に読ませてもらってます!ありがとうございます! (2018年10月5日 23時) (レス) id: 30aa3f8e55 (このIDを非表示/違反報告)
こぁお - うわあ、きなこさん、さすがです。 本当に面白かったです。 感動をありがとうございました。 (2018年2月7日 18時) (レス) id: bd05a1edf1 (このIDを非表示/違反報告)
実波 - 久しぶりに読みました。これ、続編ないんですか?笑 (2017年9月26日 7時) (レス) id: 6e3449be8e (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - しばらく開いていなかった占ツク。きなこさんの最初の作品から読ませていただいています。冬のお話を、夏に読んじゃいましたが、きなこさんの世界観はやっぱり素敵だなと思います。この作品以降のものも時間を見つけて全部読ませていただきます! (2017年8月17日 14時) (レス) id: c2a087ffac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこ | 作成日時:2017年2月1日 21時