ユアマイドール【佐野玲於】

愚痴 ページ45

Aside






ココアも残り僅かになった頃





「…そういえば、Aちゃんと同い年くらいの男の子がよく店に来るんだけど、」


A「え？ここに？」


「うん。その子も恋愛のことで悩んでてね。」






…おじいちゃん、 何を言いだすかと思えば。






A「…そうなの？」


「その子は逆に、自分のことを好きな女の子がいてね。」


A「…自分のことを好きな？…えー、なにそれ。自慢じゃん、自慢。」


「あはは、自慢かあ。」





自分のことを好きな子がいる、なんて言う？普通


ていうかどんだけ自意識過剰？

それか、女の子が分かりやすいのかな。





「…その男の子とAちゃん、なんかお似合いな気がするなあ。」


A「…えー、うそ。なになに、わたしに新しい恋でも始めさせようとしてるの？」


「…どうかな？と思ってね。笑」


A「…おじいちゃんから言われると、適当には流せないかも。」






もうこの際、新しい出会いでも探してみようかな


おじいちゃんが言う人なら悪い人じゃないだろうし

そもそもこのお店に通ってる時点で気が合うかも。






A「…でもその人、好きな人とか付き合ってる人とか、いないの？」


「…いるねえ。」


A「…いるねえ、じゃないよ。おじいちゃん。」






はあ、おじいちゃんの天然のおかげで白紙だ。

やっぱり新しい恋なんてダメだ。




玲於くんの見えない束縛からは、きっと逃げられない。






A「…今ごろ好きな人とご飯食べてるんだよ。やだな、もう。」


「…Aちゃんがいなくて寂しいんじゃない？」


A「寂しいわけないもん。…わたしなんていなくても気にしないの、ソルトボーイは。」


「ソルトだねえ。」


A「ソルトすぎ。…そこが良いんだけど。」






…はあ、ほんとバカ。






A「なんかおじいちゃんに話したらスッキリした。…ごめんね、いっぱい愚痴っちゃって。」


「愚痴くらいならいつでも聞くよ。」


A「…ありがとう。」






おじいちゃんに、玲於くんを会わせてあげたい。



この人がわたしの好きな人だよ

って、笑って言いたい。





そんな日が来たらいいな




今はまだ全然無理だし、明日会うのすら怖いけど



いつか


そんな2人になれたら…






A「…おじいちゃんはシュガーボーイだよね。」


「ボーイ？」


A「…シュガーグランドファザー…」


「あはは、それはぴったりだ。」




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