ユアマイドール【佐野玲於】

これでいいや ページ23

Aside





それから10分もしないうちに、わたしのマンションに到着。


便利が良いように わざわざ駅近にしたんだけど






A「…もっと遠かったらいいのに…」


玲於「なんで？笑」


A「…玲於くんと、バイバイしたくない。」






思わず漏れた本音に

ほんとウケるとか言いながら笑ってる。


…もう、本気なのに。






玲於「…うん、なんかさ、お前その方がいいよ。」


A「え？」


玲於「何悩んでたのか知んないけど…まあ、ラーメンくらいならいつでも連れてってやるし。だから元気出して。」






…どうしよう

泣きそうだ、わたし。




わたしが元気なかったから、わざわざ…






A「…ありがとう。」


玲於「いーえ。」


A「……ありがとう。」


玲於「…もう聞いた。笑」





こんな風に笑い合える玲於くんが好き


バカなわたしに付き合ってくれる

優しい玲於くんが大好き。





A「…また、ラーメン行きたい。」


玲於「はいはい。」


A「今度はわたしが餃子2個で我慢する。」


玲於「我慢するってか普通お前が2個だよね？」


A「…美味しかったから。」


玲於「バカじゃねーの。笑」






マンションの手前


…ああ、ほんとにバイバイだ。







A「…送ってくれてありがとう。」


玲於「…いや、そんな寂しそうな顔すんなって。」


A「だって寂しいもん。」


玲於「…明日会えるでしょ。」






明日、会える


その言葉が嬉しくて、嬉しすぎて

返事をするのも忘れてしまうほどだった。







玲於「…じゃあおやすみ。」







そう言い残して また駅に向かって歩いてく

大好きな後ろ姿。









…ああ、わたし、これでいいや。





好きになってくれなくても


あの腕に抱きしめられることがなくても





それでも


玲於くんの笑った顔が見れるなら、もう欲張りなんて言わない。







単純すぎるかもしれないけど

わたし、今日が本当に嬉しかったから。






玲於くんには他に好きな人がいるって分かってて






苦しいはずなのに

でも、この一瞬が幸せならそれでいいって思ってしまう。







これが恋で

片思いで




嬉しかったり、悲しかったりして






でもきっと


人生ってそういうものなんだ。



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