ユアマイドール【佐野玲於】

こんな夜に ページ12

Aside






美幸「よし、Aちゃんお疲れ様。帰っていいよ。」





美幸さんにそう声をかけられて

時計を見上げるとすでに22時を過ぎていた。



今日は長かったなあ

朝から夜までずっと収録だったから。




週はじめの月曜日だったこともあって、なんかもう色々と疲れてる。




…って言っても、メンバーは今も撮影中だから こんな弱っちいこと言ってられないか。






A「片付けだけして帰ります。」


美幸「いいよいいよ、もう遅いから帰りな？」






優しい美幸さん

初めての仕事で右も左も分からなかったわたしのこと、懲りずに面倒見てくれたの。



イケメンな旦那さんがいるから恋の相談なんかもできちゃうし。






A「…美幸さん、聞きたいことがあるんですけど…」


美幸「ん？」





メイク道具を片付けながら、こっそり尋ねる。

ずっと聞きたかったこと。






A「わたしが来る前にいた、チカさんって…」


美幸「ああ、この前話してたね。涼太の彼女でしょ？」


A「そうです。あの、どんな人なんですか？」


美幸「もうね、ほんとにいい子。すっごい美人なのに気取ってなくてね？メンバーとも仲良かったし。」





…そっか。


だって、涼太くんが好きになる人だもん。素敵な女性なんだよね。



だからもしかしたら 玲於くんも…






美幸「帰って来るんでしょ？わたしよりAちゃんの方が歳近いし、仲良くなれるよきっと。」


A「…そうですね。」






…ああ、聞かなきゃよかった。


こんな夜にこんなこと、気分落ちるだけ。






A「…わたしももっと美人になりたいな。」


美幸「何言ってんの、可愛いよ？」


A「だって、玲於くんが好きって言うモデルさんとはかけ離れてますもん。」


美幸「AちゃんにはAちゃんの良さがあるの。髪の毛ふわふわしてるの超可愛い。」


A「…天パです。」






はーあ、可愛くなりたい。


メイクで誤魔化すのももう限界。






裕太「あ、おつかれっす。」


隼「おつかれっす！」





そのあと美幸さんと世間話なんかしてたら

収録を終えたメンバーが続々と戻って来た。


やば、もう22時半だ。



けど 帰る前に玲於くんの顔見れるなら、それでもいいかなあ





玲於「マジパネエって言ってよ龍友くん。」


龍友「…マジパネエ。」


玲於「…え？何がっすか？」


龍友「いやなんなん？笑」






相変わらず、がきんちょ。


．

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