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「A、」
もしもしと言うよりも前に彼が私の名前を呼んだ。それはいつもの彼ではなく、暗かった。
「話聞いた？」
「おん、マネージャーに呼ばれて」
「私は別れたくない」
結局、私は弱かった。彼の声を聞いたらこれから離れることなんて無理だと思った。今の私があるのは彼のおかげだから彼がいないときっと生きていけない。
「俺やって別れたくなんかない」
「でも、」
「別れないとって言うんでしょ？」
頭では分かっているけれど心が拒否する。
「今から大阪いく」
「もう夜遅いからあかんで」
欲が出た。彼の声を聞いたら彼の顔が見たくなり、彼の声を聞いたら離れるなんて無理だと思った。いっその事このまま大阪に行って女優なんてやめよう、と考えダメと言ってる彼との通話を切り、家を飛び出した。
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作者名：ニート部屋
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=1993maa
作成日時：2021年8月15日 4時
