狙いを定めて特効薬(汐恩) ページ23
汐恩スマブラしに行ってもええ?
A無理
汐恩なんで?暇じゃないん?
A月イチのアレに襲われてるなうお腹痛すぎてしぬ
家が隣同士だからって、暇さえあれば家にあがりこんでゲームをしたり漫画を読んだりする汐恩。もう何年もの仲になるので、今更遠慮なんてない。
今日もゲームしたかったなあ。会いたいなあ。
送ったメッセージには既読の文字がついているが返信はない。
『うー、痛い』
腹部の激痛に思わず声が出る。ベッドの上でお腹を抱えてうずくまる。
両親は既に出勤してしまった。家には一人だし、お腹は痛いし、動く気力もない。
『もう12時すぎてるじゃん … 』
お腹が痛すぎて食欲は湧かない。
薬を飲もうと身体を無理やり起こす。すると突然、玄関のドアが開く音とともに｢おじゃましまーす｣と聞き慣れた声が聞こえた。
ドタドタと階段をあがる少々荒めの足音。
その足音は、私の部屋の扉の前で止まった。
｢A？生きてる？｣
『 … 生きてる』
｢入るで｣
『うん』
開いた扉の先にはやっぱり汐恩がいた。
片手にはビニール袋を持っている。
｢ん、これ｣
『なにそれ』
｢ウイダー持ってきた、あとチョコレートとか｣
食べたい時に食べ、と袋を机に置いた汐恩は私の顔を覗き込んだ。
『ゲームできないって言ったじゃん』
｢さすがにゲームしに来るバカ居らんやろ、心配やから様子見に来てやっただけですぅ｣
『頼んでないんだけどなあ』
｢ほんっと可愛くないな、もしかして迷惑やった？｣
『いや、むしろありがたいです』
｢そか｣
『ありがとう』
｢おう｣
じゃあ帰るで、とベッドから離れる汐恩の手を掴む。振り向いた顔は目を丸くして驚いていた。
『汐恩暇でしょ？もう少しだけここにいてよ』
｢体調悪いんやろ｣
『だから居てって言ってんの』
｢ … しゃあないなあ｣
汐恩の表情は優しかった。たまに見せるその表情が好きだ、安心する。
｢目閉じて少し寝とき｣
『うん、そうする。寝るまでここに居てね』
｢ええで｣
『やっぱり寝てもここにいて』
｢さすがに帰るけど｣
『目覚めたら汐恩居ないなんて寂しいじゃん』
｢ … 分かったから、早く寝ろ｣
耳まで真っ赤になる汐恩。案外照れ屋なんだよね、可愛いなあ。
何よりも、私だけの特効薬。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 707人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「JO1」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヨカ | 作成日時：2021年8月22日 22時
